トゲトゲ頭のナマズ新種、一挙に6種を発表

観賞魚としても人気の「プレコ」、南米アマゾンで発見

2019.02.15
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レスリー・デ・ソウザ氏らが発見したブリスルノーズの新種。デ・ソウザ氏の研究仲間で、今は亡きオスカー・レオン・メタ氏を記念して、アンキストラス・レオニ(Ancistrus leoni)と名付けられた。(PHOTOGRAPHIC COMPOSITE BY JONATHAN W. ARMBRUSTER, COURTESY THE FIELD MUSEUM)
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 まさか自分の探しているナマズが皿にのせられて出てくるとは、レスリー・デ・ソウザ氏は思っていなかった。

 米フィールド自然史博物館の保全生物学者であるデ・ソウザ氏は当時、南米のアマゾン川とオリノコ川の流域でプレコと呼ばれるナマズの仲間を探していた。一日中網で川の泥をすくってキャンプに戻ると、現地ガイドが食事を作ってくれた。カピバラにワニ、そして吸盤状の口と固い体をした魚料理だ。

「色々食べましたよ。出されたものは何でもいただきます」。研究対象のナマズを自分が食べてしまったのではないかと気づいたのは、そのときだった。

 オリノコ川流域とその周辺を調査すること15年。デ・ソウザ氏と米オーバーン大学魚類学者のジョナサン・アームブラスター氏は、新種のプレコ6種を発見、2月7日付けの動物分類学専門誌「Zootaxa」に発表した。

 今回、新種として記載されたのはアンキストルス属のプレコ6種。体は鎧のように固く、頭はとげで覆われている。脅威を感じると、とげを大きくして身を守る。変身して戦うこのナマズを、デ・ソウザ氏は「魚のスーパーヒーロー」と呼ぶ。(参考記事:「洞窟の壁を登るナマズを発見、アマゾンの鍾乳洞で」

 アメリカ自然史博物館の魚類学者ネイサン・ルジャン氏は、デ・ソウザ氏の論文を評価して「このグループのナマズに関しては最も包括的な研究です。研究がとても難しいグループなんです。ほかの研究者たちにも大いに役立つでしょう」と語った。ルジャン氏は、今回の研究には参加していない。

多様なナマズ、形も模様もさまざま

 ナマズは、地球上の魚類のなかでも特に多様性に富んだ魚である。新たな発見により、アンキストルス属を含むロリカリア科のナマズは1000種近くに増えた。アンキストルス属は、頭のとげのほかにも、オスの口の周りに大きな球根状のひげが生えている。また、卵を守るのはオスで、生まれた稚魚の世話をする。交尾相手を探すメスは、子育て未経験者よりも経験者のオスを好むため、子どもがいないオスはひげを蓄えることで、口の周りに稚魚がいるように見せかけ、メスの気を引こうとしているのではないかと、専門家は考えている。

「メスに、この男なら良い子どもを育ててくれるかもしれないと思わせるんです」と、デ・ソウザ氏は説明する。(参考記事:「タガメ、動物界のベストファーザー」

参考ギャラリー:こんなにスゴイ、淡水生物の世界 写真16点(画像クリックでギャラリーページへ)
淡水の環境には、1万種を超す魚が生息しているが、現在、その多くが絶滅の危機に瀕している。人々に淡水の生き物たちに目を向けてもらおうと、写真家が奮闘した。(PHOTOGRAPH BY DAVID HERASIMTSCHUK, FRESHWATER ILLUSTRATED)

次ページ:新種に「郷愁」と名づけた思い

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