2.4億年前のカメに骨肉腫、現代人のがんに酷似

化石でがんの種類まで特定、「信じられないほど珍しい」発見

2019.02.13
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 オーストラリア、クイーンズランド大学の古生物学者で、ティラノサウルスの化石で感染症の研究を行ったことがあるスティーブ・ソールズベリー氏によると、化石骨の病変は比較的よく見られるが、その多くは噛まれたり骨折したりしたことによる外傷性のものだという。なお、同氏は今回の研究に関与していない。(参考記事:「無敵のT・レックスは寄生虫に負けた?」

「脊椎動物の化石の病変を既知の疾患と結びつけられることはめったにありません」とソールズベリー氏は言う。「三畳紀のカメと現代のカメが同じがんに罹患するものと仮定して、この化石骨を同じがんになった現代のカメの骨と比較してみるのも面白いかもしれません」(参考記事:「170万年前のヒト化石に最古のがん発見」

がんの起源は非常に古い

 これまでに、魚類や両生類の化石からも非常に古いがんが見つかっている。また、このカメよりもやや古い、哺乳類に近いゴルゴノプスという動物でも、良性の腫瘍(がんではない)が発見されている。しかし、今回見つかったカメのがんは、羊膜類(爬虫類、鳥類、哺乳類を含むグループ)の中では最古のがんだ。

 一部の専門家は、古代から現代までの間に疾患は大きく変化していて、「今日の疾患の兆候を基準にして古代の疾患を認識できない」と考えている。しかし、論文共著者の1人で米カンザス大学医学部教授のブルース・ロスチャイルド氏は、今回のカメの骨肉腫の発見は、そうした思い込みを一掃するものだと言う。同氏は米カーネギー博物館のリサーチ・アソシエイトでもあり、恐竜のがんを研究している。(参考記事:「中国医学から生まれた薬ががんに効く可能性」

「化石のがんを認識し、診断できるだけでなく、がんの種類まで特定できるのです」

 ニコチンやアルコールなど、現代の発がん性物質によって私たちががんになる確率が高まっているのは確かだが、三畳紀の化石にがんが見つかっていることは、現代の多くのがんや、がんに関連した遺伝子が、非常に古い起源をもつことを裏付けていると、専門家たちは主張する。(参考記事:「イヌの伝染性の癌、起源は1万年前」

「私たちは、この地球を共有してきた仲間たちとあまり違わないのです」とロスチャイルド氏は言う。

【参考ギャラリー】世界のウミガメ 写真14点(画像クリックでギャラリーページへ)
【参考ギャラリー】世界のウミガメ 写真14点(画像クリックでギャラリーページへ)
パプアニューギニアのキンベ湾で、ツバメウオやバラクーダの群れの間を悠然と泳ぐタイマイ。(Photograph by David Doubilet, National Geographic Creative)

文=John Pickrell/訳=三枝小夜子

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