北磁極の動きが加速、原因不明、あまりに急激

グーグルやアップルも利用する「世界磁気モデル」を急きょ更新、米国

2019.02.06
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更新が遅れた影響は?

 そこでNOAAとBGSは、直近3年分のデータを使って、主に米国防総省、英国防省、北大西洋条約機構(NATO)などに向けて修正したバージョンを、2018年10月にオンラインで公開した。

 だが、政府機関が閉鎖されたせいで、オンライン計算機やソフトウエア、技術注記の変更など、民間用の更新が遅れていた。米コロラド大学ボルダー校の地磁気学者アーナウド・チュリアット氏は、基本的に磁気ナビゲーションの利用者は、誰でも今回の更新の恩恵を受けることになるだろうと話す。NOAAの研究者でもあるチュリアット氏は、モデルの更新に携わっていた。

 現在、世界磁気モデルはグーグルやアップルをはじめ、多くの地図システムが採用している。だが、民間の用途では、さほど差はない。影響があるのは、主に緯度が55度以上の地域に限られるという。(参考記事:「グーグルマップも誤記、現代人を欺く「存在しない島」」

「平均的なユーザーは、北極圏でトレッキングでもしていない限り、大した影響を受けないでしょう」と、ベッガン氏。

ギャラリー:古今東西の個性的な地図、16世紀トルコ、北朝鮮「軍事秘密」地図など6点(写真クリックでギャラリーページへ)
1939年サンフランシスコ万博の壁画として描かれた、太平洋を中心に世界の動植物を示した地図。「太平洋のページェント」と呼ばれるテーマ別の巨大地図6点のうちの一つで、ミゲル・コバルビアス氏の作品。(COURTESY OF RUMSEY AND COVARRUBIAS)

なぜこんなことが起こっているのか

 尋常ではない北磁極の変化を見守る理由は、地図のためだけではない。地球の磁力線が変化していることは、地下数千キロメートルで起こっている事態を理解するための、数少ない手掛かりになる。

 2018年、米地球物理学連合の秋期会合で、リバーモア氏は最近の奇妙な動きについて、「磁場の綱引き」が起こっていると報告した。北磁極は、カナダ北部とシベリアにある2つの強力な磁場領域によってコントロールされているらしいというのだ。これまではカナダの方が強力で、北磁極をしっかりと捉えていたが、それが最近変わり始めているようだという。

「シベリアの方が戦いに勝利しそうな気配です。地理的な北極点を超えて、磁場を自分の方へ引き寄せようとしているようです」

 原因は、カナダの地下の外核でジェット噴流が起こり、磁場が薄く引き伸ばされ、弱まってしまったことだろうと、リバーモア氏は推測する。ここ数十年の北磁極の北方移動とジェット噴流が起きた時期は重なっている。だが、結論を急ぐべきではないとリバーモア氏は断っている。

「両者の間には関係があるかもしれませんが、はっきりとは言えません」

次ページ:「今後どうなっていくかはまったく予想できません」

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