科学者らは現在、マイクロプラスチックが人間と海洋生物に与える影響について調査している。2017年のある研究では、カタクチイワシがプラスチックをエサと間違えて食べることが報告されている。ごみに付着していた藻のにおいに引き付けられた可能性があるという。こうした小魚が、食物連鎖の上層にいる大きな魚に食べられることで、いずれはプラスチックが人間の食卓にも到達することが懸念されている。2018年10月に発表された研究では、すでに9割の食塩の中にマイクロプラスチックが入っていることが明らかになった。(参考記事:「9割の食塩からマイクロプラスチックを検出」)
「プラスチックはすばらしい素材です」とリトシュワガー氏は言う。「それでも、使い捨ての製品を作るというのは、あまりに思慮が足りません」(参考記事:「人体にマイクロプラスチック、初の報告」)
リトシュワガー氏は、20年前から幾度も、プラスチックによって自然が損なわれている光景を目撃してきた。1994年に見たのは、ハワイのごみだらけのビーチだった。ハワイには、太平洋ゴミベルトから流れてくるごみが行き着くビーチが複数ある。その10年後、氏は科学者たちと一緒にハワイの離島にいた。アホウドリのひなが小さなうちに死んでしまう原因を突き止めるためだった。ひなの死骸を解剖すると、胃の中からはボトルキャップなどのプラスチックのかけらが出てきたという。(参考記事:「クジラの体内から重さ6キロのプラスチックごみ」)
リトシュワガー氏は自らの使命を、ただ現実を記録することだと述べている。「人々に、現実にそこにあるものを見てもらいたいのです」
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