土星の1日の長さが判明、太陽系で唯一謎だった

土星と環との「共鳴」から自転の周期を計算、最新研究

2019.01.28
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 土星の環を波立たせるのは、さほど難しくない。土星の周囲や内部で、中ぐらいの衛星ほどの質量が移動すると、環の一部をぐらつかせる。この振動に環が共鳴する場合、小さなぐらつきがはっきりした「らせん波」になる。

 らせん波の性質は、それがどこを伝わっていて、どのような原因で生じたかによって異なる。マンコビッチ氏のチームはこのことを念頭に置き、土星の環にできる波を使って土星の内部構造を推定する数値モデルを作成した。このモデルは土星の内部の仕組みの一部を解き明かしただけでなく、1日の長さもはじき出した。

 ティスカレーノ氏は今回の研究を「慎重で、信頼できるもの」だと評価する。

土星の環の微妙な自然の色合い。2009年8月にカッシーニが撮影。(PHOTOGRAPH BY NASA/JPL-CALTECH/SPACE SCIENCE INSTITUTE )
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土星の環の上方に見えるのは衛星タイタン。タイタンは土星の衛星の中で最も大きい。2016年にカッシーニが撮影。(PHOTOGRAPH BY NASA/JPL-CALTECH/SPACE SCIENCE INSTITUTE )
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偉大な土星探査機カッシーニの功績

 土星の1日の長さを特定するのに、ここまで時間がかかったのはなぜだろう? ティスカレーノ氏によると、土星の内部の質量とその不規則な振る舞いが環を波立たせる可能性が最初に証明されたのは1990年代初頭だったという。そして、米アイダホ大学のマシュー・ヘドマン氏のチームの最近の研究により、土星の環にできる波を使って土星の内部で起きていることを明らかにする「土星地震学(kronoseismology)」ができあがった。なお、この概念が最初に提案されたのは1982年のことだ。

 NASAのゴダード宇宙飛行センターの惑星科学者ジェームズ・オドナヒュー氏は、謎解きが可能になったのは、2017年に土星に突入して役割を終えた偉大な土星探査機カッシーニのおかげだと言う。(参考記事:「さよならカッシーニ、写真で振り返る輝かしき偉業 19点」

 土星を訪れた探査機は多いが、カッシーニは13年にわたり土星のまわりを周回し、先例のない高い解像度で環の観測を行った。その結果、地上の望遠鏡では見ることのできない詳細を見ることができたとオドナヒュー氏は言う。(参考記事:「土星の環から「雨」が降っていた、予想外の事実も」

 巨大なガス惑星の内部にある「何か」が環を波立たせていることはわかったが、その正体は不明である。マンコビッチ氏は、出版前の論文を投稿するサイト「arXiv.org」に発表された1本の新しい論文を引用して、はるかな昔に土星に天体が衝突したせいで、今も内部はカオス状態になっており、定期的に振動しているのかもしれないと言う。

「とはいえ現時点では、土星の内部を振動させているものの正体はまったくの謎です」

ギャラリー:さよならカッシーニ、写真で振り返る輝かしき偉業 19点(写真クリックでギャラリーページへ)
カッシーニが土星の軌道に入る9日前に撮影された、美しい環の写真。(PHOTOGRAPH BY NASA, JPL, CASSINI)

文=Robin George Andrews/訳=三枝小夜子

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