人気者 ペットとして飼われるカワウソの受難

東南アジアで、カワウソの密猟と売買がブームだ。背景にあるのがペット取引だ

2019.01.25
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飼育下のカワウソが健康を維持するには特別な餌が必要だ。「オフィーリア」と名づけられたこのカワウソはドッグフードを食べ、小さなおりで暮らした結果、肥満になってしまった。(PHOTOGRAPH COURTESY WILDLIFE FRIENDS FOUNDATION THAILAND)
飼育下のカワウソが健康を維持するには特別な餌が必要だ。「オフィーリア」と名づけられたこのカワウソはドッグフードを食べ、小さなおりで暮らした結果、肥満になってしまった。(PHOTOGRAPH COURTESY WILDLIFE FRIENDS FOUNDATION THAILAND)
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 人が飼育する環境でカワウソを繁殖させることは、可能ではあるが「実際には難しい」とクリシュナサミー氏は言う。子と親を健康に育てるには、カワウソ専用の餌を与える必要があるし、さらに犬ジステンパーなどの感染症の予防接種もしなくてはならない。

 米オレゴン州コーバリスにあるオレゴン州立大学でカワウソの生態を教えるニコール・デュプレイックス氏は「猫を繁殖させるのとはわけが違いますよ」と話す。デュプレイックス氏は国際自然保護連合(IUCN)カワウソ専門家グループの会長も務める。

 東南アジア諸国では、カワウソを守るため、捕獲、販売、所有、輸送を禁止する法律がほとんどの国にある。コツメカワウソ、ビロードカワウソ、スマトラカワウソは、いわゆるワシントン条約、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(CITES)」の「付属書II」に掲載されているため、輸出には許可が必要だ。「野生の個体を捕獲しても種の存続は脅かされない」と原産国の政府が判断した場合のみ、輸出が許可されている。(参考記事:「珍しい動物のペットが中国で人気上昇、心配の声も」

 一部の国は、カワウソの国際取引を禁止したいと考えており、2019年5月に開催されるCITESの会議で、コツメカワウソとビロードカワウソを商業目的の国際取引が禁止される付属書Iに移す提案が話し合われる予定だ。なお、ユーラシアカワウソは1977年から付属書Iに掲載されている。

 現在でも、制約があるにもかかわらず、ソーシャルメディアでは、カワウソの違法取引が盛んに話題になり行われている。毒グモから大型ネコ科動物、話す鳥まで、いわゆる「エキゾチックアニマル」がソーシャルメディアで広まり、売買は以前より容易になっている。

「オンライン取引の普及が、エキゾチックアニマルを飼う人を増やしています。ネット取引は取り締まりが難しいためです」とクリシュナサミー氏は話す。

 トラフィックの報告書によれば、Facebookに掲載されたエキゾチックアニマル取引の広告のうち、圧倒的多数がインドネシア、その次がタイだった(ちなみにフィリピンからの広告はなく、マレーシアとベトナムは合わせて30件ほどだった)。(参考記事:「【動画】絶滅危惧のスローロリス、ペットから森へ」

 インドネシアとタイで広告が多いのには、理由がある。両国では、もともとエキゾチックアニマルを飼うことが「文化に深く根差している」(クリシュナサミー氏)からだ。Facebook広告は自国のペット愛好家向けに作られているように見えるが、検問所でカワウソが押収されることもあるため、実際には国際取引が行われているはずだとクリシュナサミー氏は指摘する。

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