氷の消失ペースが10年で4倍に、グリーンランド

消えていたのは氷河よりも氷床、「前例のないレベル」と研究者

2019.01.24
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グリーンランドは大量の氷に覆われている。しかしこの状態はいつまでもつだろうか。(PHOTOGRAPH BY MICHAEL MELFORD, NAT GEO IMAGE COLLECTION)
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 グリーンランドの氷が、これまで考えられていたよりも速いペースで解けていると警告する研究が1月22日、学術誌『米国科学アカデミー紀要(PNAS)』に発表された。しかも驚くべきことに、消えているのは氷河よりも、むしろ陸に定着した氷床であるという。

 研究によると、2003年初頭から2013年なかばにかけて、継続的かつ大規模に氷が消失した地域は、大きな氷河がほとんどないグリーンランドの南西地域と判明した。

 世界最大の島であるグリーンランドでは、2002年か2003年ごろに氷の消失ペースが重大な転換点を迎えていたと、論文の筆頭著者である米オハイオ州立大学の地球科学者マイケル・ベヴィス氏は考える。その後、消失ペースは加速していき、2012年の年間消失量は2003年の4倍と「前例のない」レベルに達したと、ベヴィス氏は言う。(参考記事:「2018年の海水温が観測史上最高に、研究発表」

毎年、本州と九州を水浸しにする量

 グリーンランド南西地域の氷がこれほど速いペースで解けているとは、従来は考えられていなかった。科学者らが注目していたのは、氷河から巨大な氷が大西洋に流れ込んでいるグリーンランドの南東地域と北西地域だった。

「氷河から大規模な氷が流れ出すペースが上昇していることは、大きな問題として認識されていました」とベヴィス氏は言う。「しかし今回、2つ目の深刻な問題があることがわかったのです。この先、氷床からさらに大量の水が解け出し、海に注ぎ込むことになるでしょう」

 NASAの人工衛星GRACEやGPSによるデータから、2002年から2016年にかけて、グリーンランドが年平均およそ2800億トンの氷を失っていたことがわかる。これだけの氷が解ければ、1年分で日本の本州と九州を腰の高さまでの水で埋め尽くせるだろう。

 グリーンランドの氷床は、場所によっては厚みが3キロに達し、海面を7メートル上昇させるだけの水量を含んでいる。20世紀の間にグリーンランドは計9兆トンの氷を失い、その結果、海面は2.5センチ上昇したとされる(世界の海面を1ミリ上昇させるには3600億トンの氷が必要となる)。

 それでも、グリーンランドの氷床は南極のそれに比べればささやかなものだ。南極の氷床は、もし完全に融解すれば海面を57メートル上昇させるだけの量がある。恐ろしいことに、氷の融解速度は南極でも加速しており、その消失量は40年前の6倍になっているという。過去10年間における氷の消失量は、平均で年間2520億トンにのぼる。(参考記事:「南極に出現した真四角な氷山、どうやってできた?」

ギャラリー:北極の氷の下、この世のものと思えない神秘の生物、写真12点
写真家のビクトル・リャグシュキン氏が、クリオネ、ワレカラ、ヒトデなど、氷点下の幻想的な海に暮らす生きものたちを撮影した。(写真=VIKTOR LYAGUSHKIN)

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