参考ギャラリー:生命を包む美しく硬い翅(画像クリックでギャラリーへ)
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ルリボシカミキリ Rosalia batesi 体長16~30ミリ 日本を代表するカミキリムシで、夏の広葉樹林に多い。葉が生い茂って薄暗い森では、この青さは鮮烈だ。 写真=松本泉

 つまり、力の強さこそが、甲虫の強みなのだ。

 映像で2匹の戦いを見ると「糞虫が体重に比べて、とても強い力があることがわかる」と言うのは、動画を撮影したナショナル ジオグラフィックのTV番組「サファリ ライブ」で主任ガイドを務めるジェームズ・ヘンドリー氏だ。例えば、南ヨーロッパ、北アフリカ、トルコ、および中東が原産の甲虫、タウルスエンマコガネ(Onthophagus taurus)は、自分の体重の1100倍以上の重さがあるものさえ引っ張ることができる。

転がす、地下道を掘る、住み着く――様々な糞虫

 一口に糞虫といっても、糞の扱い方によって3つのタイプに分けられる。まずは、動画のように転がすタイプがフンコロガシと呼ばれるタイプ。糞から切り出した塊を丸めて玉にして転がし、地中に埋めて食糧にしたり卵を産みつける産卵床にしたりする。穴を掘るタイプもいる。このタイプは糞を地下に運び込んで保管する。そして、最後が糞の山に住み着くタイプだ。

 エムレン氏は、穴を掘るタイプの糞虫には角があるという。フンコロガシに角が無いのは、戦い方が違うからではないかとエムレン氏は考えている。

 穴を掘るタイプは、地下に作られた道のような閉ざされた空間で一対一で勝負する。このような状況では、強い武器を持つ方が有利だ。だから、アドバンテージが持てるように、エネルギーを費やしてまで角を生やすようになった。

 動画のように、フンコロガシの戦いは地表で行われ、数匹で糞を奪い合うことも珍しくない。また、体が大きいから有利とも限らない。そのため、フンコロガシが進化する過程で、角のような武器を生やすことは割に合わなかったのではないかとエムレン氏は説明する。

「とにかく糞を転がすことが最優先なのでしょう」とエムレン氏。戦利品をほかの糞虫から離れた安全な場所に運ぶことが一番の目的だからだ。(参考記事:「フンコロガシはなぜ空を見ながら糞を転がすのか」

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