ブータンのように、あまり人が訪れていない旅行先を求める人が増えている。(PHOTOGRAPH BY JULIAN BOUND, NAT GEO IMAGE COLLECTION)
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 旅のトレンドはめまぐるしく変わる。ナショジオが2019年の旅のトレンドを業界トップの専門家にアンケートしたところ、全員の回答に共通したのは「今年人気になるのは目的を持つ旅」ということだった。「目的を意識的に持って旅を楽しみたい人が増えています」と話すのは、アフリカ旅行を専門にするロアー・アフリカ社の創設者のデボラ・カルメイヤーCEOだ。

 これから見ていく旅行トレンドの本質は、旅を通じて自分を超える存在とのつながりを探すものと言えそうだ。また旅の目的も、旅先が失われてしまう前に見ておこうというよりも、旅先を次代に残すために訪問しようということに変わりつつある。

地元志向の「持続可能な観光」

「持続可能性」は旅においても例外ではなくなり、持続可能な観光も年々重視されている。例えば、アフリカでは地元を巻き込んでの観光による自然保護が進む。エピック・プライベート・ジャーニーズ社のブラッド・ホーン氏は「地元の人びとが直接利益を享受できなければ、アフリカの野生生物に未来はないというのが私たちの考えです。当社はそれを観光という形で実現しようとしています。観光客が増えれば、それだけ地元の人たち自らが、その土地の植物相や動物相を保護しようとする動機になりますから」

 さらに一歩進んで、旅先をより豊かにしたいという思いを持つ人に向けた「ボランティア旅行」も登場している。REIアドベンチャーズ社のシンシア・ダンバー氏によれば、同社が提供するボランティア・バケーションプログラムは、2年間で参加者が2倍以上に増えるほど人気を集めているという。「ボランティア旅行は、今後も人々の関心を集めるでしょう」と同氏は話す。 (参考記事:「青く輝く世界遺産 フィリピン棚田の絶景」

 こうした旅先のコミュニティを重視した旅の影響は「旅行後に現れる」とロアー・アフリカ社のデボラ・カルメイヤー氏は指摘する。「従来型の旅は、手付かずの自然を訪ねることで、自然と人との結びつきを再確認しようというものでした。でも、持続可能性を目的にした旅を経験すれば、世界中のどこにいても、日々の生活の中に地球の現状を改善するためにできることがあることを実感できるのです」

政情不安を脱した場所も候補

 ところで、旅先を決めるとき、訪問地の治安が良いかどうかは大きく影響する。例えば、政治紛争や騒乱が世界に報道されたエジプトは、2010年からしばらく観光が大きく落ち込んだ。「今は政治的に安定し、観光も復調しつつあります」と、ジオグラフィック・エクスペディション社執行役員のケイト・ドーティ氏は説明する。「最近は、再び観光客が溢れる前にエジプトを訪れたいという人が増え、何度も訪れる人も増えています」。16年のテロ事件、17年のクーデター未遂事件の後に旅行者が減っていたトルコも同じ傾向が見られるという。 (参考記事:「4400年前の神官の墓、エジプトのサッカラで発見」

 アフリカのジンバブエも、17年11月にロバート・ムガベ大統領が辞任して、再び旅行者の関心を集めるようになった。ロアー・アフリカ社のデボラ・カルメイヤー氏は「ジンバブエの魅力は、政情が不安だったときも絶大な人気があったビクトリア滝だけではありません。ワンゲ国立公園、マナ・プールズ国立公園、カリバ湖などは、政治が安定したことで、サファリの中心地として今後、観光事業が盛んになっていくと思います」 (参考記事:「ビクトリア滝、世界最大の自然保護区」

混まない観光地が人気に

「ベネチア、サントリーニ島、ローマなど、人が多すぎる観光地はいやだというお客さまが増えています」と話すのは、スコット・ダン社のジョン・スペンス社長だ。エピック・プライベート・ジャーニーズ社のホーン氏も同じ意見だ。「エチオピア、マダガスカル、ケニア北部、ブータン、インドネシアなど、これまであまり旅行客が訪れていない場所に対する関心は高いですね」(参考記事:「絶滅危惧のキツネザル、観光島へ移住させて保護へ、マダガスカル」

 観光客であふれかえっていないことを重視するなら、旅先を変えることも考えてみよう。例えば、人気のアイスランドの人込みを避けたければ、「ノルウェー、スウェーデン、スロベニアなどがお勧めだ」(スペンス氏)。カリブ海の代わりならインド洋の島々、中でもセーシェル諸島のノース島やマダガスカル周辺の島がよいとロアー・アフリカ社のデボラ・カルメイヤー氏は話す。(参考記事:「ギャラリー:よみがえるセーシェル 写真12点」

 出かける時期を選ぶことも選択肢に入れてみよう。ジオグラフィック・エクスペディションズ社のドーティ氏は、オフシーズンを狙うことを提案する。「寒い時期こそホットですよ」。混雑せず、冬ならではの楽しみもあるからだ。北半球が夏でも、南半球のニュージーランドやチリならヘリスキーまで楽しめる。

参考ギャラリー:2019年、世界のホットな旅先28(画像クリックでギャラリーページへ)
メキシコシティー(メキシコ) 1/28
メキシコシティのベジャス・アルテス宮殿。屋根は鉄とクリスタルで装飾されている。(PHOTOGRAPH BY ERIKA LARSEN)

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