2015年に冥王星に近づき、鮮明な画像を撮影したNASAの無人探査機ニューホライズンズが、新年早々、さらに遠くの雪だるまのような天体の画像を地球に送信してきた。
1月2日、ニューホライズンズ計画の研究チームは、この天体の画像を世界に公開した。同天体の公式名称は2014 MU69だが、研究チームは「ウルティマ・トゥーレ(最果ての地)」と呼んでいる。
「ニューホライズンズは、これまで試みられた宇宙飛行の中で技術的に最も難しいウルティマ・トゥーレのフライバイ(接近通過)に成功しました」と、ニューホライズンズ計画の研究リーダーであるアラン・スターン氏は記者会見で発表した。太陽系の外縁部を時速5万キロ以上のスピードで飛ぶ探査機で、小さな天体の姿をとらえたのだ。(参考記事:「冥王星“接近通過”をめぐる10の疑問に答える」)
ウルティマ・トゥーレは、太陽系でもっとも外側の惑星である海王星より、さらに20億キロも遠くにあり、太陽系が形成された当時の記憶をとどめていると考えられている。2018年の時点では、ボウリングのピンのような形と考えられていたが、今回、雪だるまのような形であることが判明した。最新の画像から、2つの球の直径は19キロと14キロで、赤みがかった茶色のまだら模様が確認できる。岩と氷でできた2つの球はゆっくりと衝突して合体したらしいこと、天体が約15時間の周期で回転していることもわかった。
「まるで土のような、非常に暗い天体です」とニューホライズンズ計画のサブリーダーを務める米サウスウェスト研究所の科学者キャシー・オルキン氏は記者会見で述べた。「しかし、表面の明るさは場所によって大きく異なり、その差は2倍にもなります」
ウルティマ・トゥーレの赤みを帯びた色は、太陽系の他の始原天体(太陽系が誕生したときやその後の進化の情報を持った天体のこと)にも見られる特徴だ。この色は、ソリンという炭素化合物に由来すると考えられている。ソリンとは、窒素とメタンから成る特殊な氷が、太陽からの高エネルギー粒子に曝された際に生じる赤っぽい物質のことだ。ニューホライズンズは、2015年に冥王星をフライバイした際、冥王星とその最大の衛星カロンでも同様の色を観測している。(参考記事:「冥王星の衛星カロンに謎の黒い領域」)
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