「月から昇る地球」、世界を変えた撮影から50年

人類が初めて目にした「地球の出」、アポロ8号の宇宙飛行士が興奮しながら撮った

2018.12.27
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 この地球の出の写真は、しばしば環境保護運動のきっかけを作ったと言われる。あれから50年、その後も宇宙から見た様々な地球の写真が撮影された。その多くは、人々の感情に訴えかけ、それぞれ違った形で見る者を楽しませてくれる。(参考記事:「土星の環から地球が見えた、NASAが写真公開」

 最後の有人月面ミッションとなったアポロ17号から撮影されたのは、宇宙飛行士のハリソン・シュミットが月面に立ち、後ろに地球が写り込んでいる写真だ。ちょうど、地球上に立って空を見上げると月が浮かんでいるのと真逆の状態だ。それから数十年後、地球を離れる火星探査機が撮った写真も印象深い。三日月形の地球と本物の三日月がともにひとつのフレームに収まり、その相対的な大きさと距離を見事にとらえている。(参考記事:「火星から見た地球と月の写真をNASAが公開」

【ギャラリー】宇宙から見た地球の姿 写真11点(写真クリックでギャラリーページへ)
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米国の国旗と一緒に月面に立つアポロ17号の宇宙飛行士ハリソン・H・シュミット。(PHOTOGRAPH BY NASA)

 だが、「地球の出」くらい強烈なメッセージ性を持って私たちの胸に迫る写真というのは、ほんの一握りだ。その貴重な1枚が、1990年のバレンタインデーにボイジャー1号が送ってきた写真だ。太陽系を離れ、ひとり寂しく宇宙の彼方へ旅立とうとするボイジャーが、後ろを振り返り、故郷である地球をじっと見つめた。はるか遠く、未知の宇宙空間との境から見た地球は淡く青い点にすぎず、「太陽光線に浮かぶ一点の塵のようだ」と、米国の天文学者であり、SF作家でもあるカール・セーガン氏は1994年に書き残している。

「これが、故郷だ。これが、私たちだ。このちっぽけな世界をはるか遠方からとらえたこの写真ほど、うぬぼれた人間の愚かさを表すものはない。この写真は、人類が互いにもっと優しく接し合い、知りうる限りたったひとつのわが家である淡く青い点を守り、大切にする責任がある、と訴えているように感じられる」

「地球の出」をはじめとするこれらの写真は、私たちが存在する矛盾した世界を浮き彫りにする。この地球は、広大な宇宙のなかでは塵のように小さなものにすぎないが、同時に私たちが種として共有する最も大切な存在でもあるのだ。

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2009年に打ち上げられたNASAの月探査機ルナー・リコネッサンス・オービターからのデータを基に作成された合成画像。月の地平線から地球が昇っているように見える。地球の右上にある大きな茶色の部分はサハラ砂漠。(PHOTOGRAPH BY NASA/GODDARD/ARIZONA STATE UNIVERSITY)

文=Nadia Drake/写真編集=Jenna Fite/訳=ルーバー荒井ハンナ

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