思わぬ副作用?干ばつでCO2排出が大幅増、米国

水力発電量が低下し化石燃料の使用増える、15年間で100メガトン、最新研究

2018.12.28
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
【動画】乾き続ける大地 干ばつ
雨が降らなければ、土地は干からび、人々の命が失われる。

 カリフォルニア、ワシントン、オレゴンなどの州は平年、水力発電所に大きく依存しているため、干ばつの影響が特に大きかった。例えば、カリフォルニア州では、干ばつに起因するCO2の排出量が、エネルギー関連の全排出量の7%を超えていた。オレゴン、ワシントン州では、同じく約10%を占めていた。

 決して取るに足りない数字ではない。米国西部では、多くの州が数十年単位の積極的な排出削減計画を立てているためだ。例えば、カリフォルニア州は2050年までに、1990年の水準から80%も排出量を削減しようとしている。しかし、干ばつはすべての西部の州を大きく後退させており、排出削減目標の達成は一層難しくなっている。

「大干ばつ」が起きている?

 米国西部はこの10年間に、過去数世紀でもあまり例がないような干ばつを何度か体験した。米国南西部は「大干ばつ(megadrought)」に見舞われていると考える科学者もいる。大干ばつとは、20年以上の長期に及ぶ干ばつのことだ。乾燥地帯はさらに乾燥し、水力発電所はさらなる打撃を受けるという予測もある。(参考記事:「米西海岸、過去100年で最悪の干ばつ」

「干ばつは今後も悪化するでしょう。その結果、天然ガスや石炭を燃やす量が増える可能性は十分あります」と、カリフォルニア州オークランドのパシフィック研究所に所属する水の専門家ピーター・グリック氏は予想する。「気候変動が起きているなか、悪いことに、結果が現象をますます加速させています」

 グリック氏はさらに、悪循環に陥るのは簡単だが、電力会社の意識が高まるほど、そこから抜け出す可能性は高まるという。

 この地域における干ばつによる炭素排出量は確かに多い。だが、世界の多くの地域がいつも、何らかの水問題に直面しているとアガクーチャック氏は指摘する。「CO2排出による異常な出来事の累積的な影響を合算してみれば…」。一瞬沈黙してから、氏はこう述べた。「きっと皆さんの想像をはるかに超えているでしょう」(参考記事:「地球温暖化の影響は想定より深刻、IPCCが警告」

 それでも、ディフェンボー氏は、数年前から多くの研究が行われているおかげで、水力や再生可能エネルギーなどの電力源が困難に陥るタイミングや理由がはっきりしてきたと話している。また、干ばつなどのストレスの予測精度も向上しているため、電力会社は再生可能エネルギーで不足分を補う方法を見つけ出すはずだと期待している。

【ギャラリー】カリフォルニア州史上最悪の山火事 写真18点(写真クリックでギャラリーページへ)
燃え盛る住宅を見つめるカリフォルニア州森林保護防火局の消防士。(PHOTOGRAPH BY JUSTIN SULLIVAN, GETTY IMAGES)

文=ALEJANDRA BORUNDA/訳=米井香織

おすすめ関連書籍

気候変動 瀬戸際の地球

変化していく地形、水浸しの生活を強いられる人々、生息域を追われる動物たち、そして経済的ダメージまで、人類史上最大の危機を徹底レポート。気候変動によって変わりつつある世界の今に迫る1冊。

定価:本体1,400円+税

  • このエントリーをはてなブックマークに追加