思わぬ副作用?干ばつでCO2排出が大幅増、米国

水力発電量が低下し化石燃料の使用増える、15年間で100メガトン、最新研究

2018.12.28
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カリフォルニア州では2014年、湖や貯水池の水位が記録的に落ち込んだ。フォルソム・ダムでは、総容量の約40%まで貯水量が減少した。(PHOTOGRAPH BY JUSTIN SULLIVAN, GETTY)
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 米国の西部は2000年代前半から干ばつに見舞われている。その間、山火事が猛威を振るい、作物は枯れ、平野や渓谷で砂嵐が吹き荒れ、北から南まで川が干上がった。(参考記事:「雪不足が招く米国西部の干ばつ」

 加えて、これほどわかりやすくないものの、干ばつは気候や環境にさらなる影響を及ぼしている。川の水が減ったことで、水力発電所の発電量が大幅に低下したのだ。

 その影響の大きさを知るため、ある研究グループがこのたびCO2(二酸化炭素)の排出量を計算した。結果、水力発電所を使用できない間、炭素を排出するエネルギー源に頼ったことで、15年間で100メガトンのCO2が余分に排出されていたことがわかった。毎年およそ140万台の自動車が追加されたのと同等の排出量だ。この論文は12月21日付けの学術誌「Environmental Research Letters」に発表された。(参考記事:「夏の異常気象、2100年までに1.5倍に? 最新研究」

「かなり大きな排出量です」と、論文の著者の1人で、スタンフォード大学の気候科学者ノア・ディフェンボー氏は話す。

 米国西部では平年、20%強の電力が水力発電で供給されていた。ただし、この数値は川の流量に応じて変動する。流量が少ないときは、水力発電所の発電量も落ち込む。

 対して、干ばつに見舞われても、光や熱、空調の需要は水が豊富なときと変わらない(場合によっては水が豊富なときより増える)。減ってしまった水力発電の分は、電力会社はほかで補うしかない。研究グループによれば、電力会社はほとんどの場合、天然ガスや石炭など、炭素を排出する電力源に依存していたという。

水の代わりになるものはほかにない

 カリフォルニア大学アーバイン校の土木環境工学者アミール・アガクーチャック氏は、理想的ではないが、電力源のシフトは理にかなっていると話す。

「干ばつの状況ではまず、人々や都市のために水を使わなければなりません。そのためには、ガスを燃やし、エネルギーを確保するという選択は十分あり得ます。エネルギー源には複数の選択肢がありますが、水の代わりになるものはほかにありませんから」

次ページ:「大干ばつ」が起きている?

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