アフガニスタン出身のシェルシャ(15歳)。セルビアの首都ベオグラードの中央駅に遺棄された鉄道の車両の中で風雨をしのぐ。近年、苦しい生活と戦争から逃れるために、親の付き添いなしでヨーロッパに避難してくる若者が急増している。(PHOTOGRAPH BY MUAHMMAD MUHEISEN, NATIONAL GEOGRAPHIC)
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 アフリカや中東から命をかけて地中海を渡り、ヨーロッパを目指す移民のニュースは近年、大きく報道されている。一方で、ここ数十年の間、これとは異なる、世界的な難民危機が深刻さを増しており、これについてはメディアもほとんど取り上げていない。(参考記事:「処刑、掃討、性暴力、世界で最も弾圧されている民族ロヒンギャ」

 現在、1300万人以上の人々が、国連が定義する「長期化する難民状態」に陥っている。「長期化する難民状態」とは、同一国籍の2万5000人以上が、受け入れ国で5年以上暮らしている状態を指す。そうした難民は中東、アフリカ、アジア、南米に存在し、受け入れ国では、難民の滞在が長期的な危機へと発展している。

 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、住む場所を追われた人は世界中でおよそ6850万人にのぼり、そのうち2540万人が難民として自国を離れている。彼らのうちほぼ10人に9人は、教育、医療、雇用がすでにひっ迫した発展途上国で暮らしている。(参考記事:「幼くして花嫁になるシリア難民が増加、15歳で離婚も 写真7点」

 たとえば、200万人を超えるアフガニスタン難民は現在、イランとパキスタンに分かれて滞在しているが、この数字は1979年、ソビエト連邦によるアフガン侵攻をきっかけに発生した難民が今に至ったものだ。

 エジプトは、世界で最も長期化した難民状態を抱えている国であり、イスラエル・パレスチナ紛争の難民を数十年前から受け入れている。エジプト、そして世界中にいるそうした難民たちにとって、旅の終わりはまだ見えていない。(参考記事:「ヨーロッパの入り口で足止めされる少年難民たち 写真25点」

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文=NATIONAL GEOGRAPHIC STAFF/訳=北村京子