「動物の箱舟」9000番目はスリランカの希少魚

絶滅から動物を守る撮影プロジェクト「PHOTO ARK」、乗組員が9000種に

2018.12.27
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 バンデューラ・バルブが生息する唯一の川は、スリランカ南西部のケーガッラ県にあるガラピタマダという村のはずれにあり、水田やゴム農園の間を流れている。一時期は農業活動にともなう肥料や農薬が流れ込んでいたが、現在は状況が改善している。

政府が保護計画を実施

 2013年、スリランカ環境省は、バンデューラ・バルブを救うための行動計画に乗り出した。生息地の多くを保護し、地域社会ぐるみで種の保全活動を行う仕組みを設ける計画であり、地域の人々が全面的に参加している。

 それから5年。直近のIUCNの評価によれば、生息数は1300匹近くまで増えている。また、サートレイ氏がバンデューラ・バルブを撮影したチェコのピルゼン動物園のように、多くの動物園や水族館が保護目的でこの魚の繁殖や飼育を始めている。(参考記事:「動物園はノアの箱舟」

「とても小さな生きものですが、人々がこの魚を守りたいと思っていることが私にとっては大きな希望です」とサートレイ氏は話す。「人々が立ち止まって小さな魚に気持ちを向けるようになれば、大きなことも意識するようになるでしょう」

 サートレイ氏の言う「大きなこと」とは、気候変動、生息地の減少、進み続ける汚染といった問題だ。

 淡水魚の生態系では、バルブをはじめ多くの種が暮らしている。そこに与える影響を大きく減らす取り組みは、小さなことからでも始められるとサートレイ氏は言う。たとえば、肉を食べることを控えたり、庭で肥料を使わないようにしたりすることだ。

 9000番目の種を撮影し終えたサートレイ氏はこう話している。「まだ時間が残されている間に種の保全に意識を向け、行動を変えてもらうように呼びかけたいのです」

文=ANNIE ROTH/訳=鈴木和博

おすすめ関連書籍

PHOTO ARK 動物の箱舟

絶滅から動物を守る撮影プロジェクト

世界の動物園・保護施設で飼育されている生物をすべて一人で撮影しようという壮大な挑戦!

定価:本体3,600円+税

  • このエントリーをはてなブックマークに追加