巨大な炎の渦は「火災竜巻」だった?米の山火事で

火災による一般的な火の渦よりはるかに強力で大規模、カリフォルニア

2018.12.25
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

私たちはまだこの現象を予測できない

 火災積乱雲がなかったら、炎の渦はあれほど巨大にならなかっただろうと、論文の共著者である米国海洋大気庁ストーム予報センターのニック・ノーズラー氏は言う。だが依然として、なぜ森林火災現場の上空ではしばしば火災積乱雲が形成されるのに、火災竜巻はめったに生じないのかという疑問は残る。

 カー火災の炎の渦は、キャンベラのときとは大きく異なる振る舞いを見せてもいる。ひとつには、キャンベラの火災竜巻が20km移動し被害をもたらしたのに対し、カー火災の炎の渦が被害をもたらした距離は1kmだった。

 また、カー火災の炎の渦は森林火災の勢いに強く依存しているように見えた。だが、キャンベラの渦は何度か森林火災を離れては、繰り返し地表から立ちのぼった。

 カリフォルニア州サンノゼ州立大学の火災気象研究室を率いるクレイグ・クレメンツ氏は、今回の研究は、火災積乱雲の形成と渦の発達についての優れた分析だと評価する。「ただし」、と付け加えてこうも言う。「この渦がそもそもどのようにして形成されたのかという部分の理解を深めるものではありません」。なお、同氏は今回の研究に関わっていない。

【ギャラリー】この世の果て? 地獄のような絶景写真12点(写真クリックでギャラリーページへ)
「地獄の門」は、天然ガスが燃え続ける大穴。数十年前から燃え続けている。(PHOTOGRAPH BY GEORGE KOUROUNIS, NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE)

 つまり、私たちはまだこの現象を予測できないということだ。しかし、火災現場で最先端の技術を用いた気象観測がもっと行われるようになれば、これから渦になりそうな空気の循環を事前に検出できるかもしれない。ほんの数分前の警報であっても、「人命救助には大いに役立つはずです」とクレメンツ氏は言う。

 幸か不幸か、炎の渦に関するデータを収集する機会は、私たちが望む以上に頻繁に訪れそうだ。私たちがいつまでも化石燃料を使い続けているせいで、森林火災は明らかに増加している。ラロー氏によれば、気候変動により乾燥が強まったことで、竜巻レベルの火災旋風だけでなく、本物の火災竜巻も発生しやすくなるかもしれないと言う。(参考記事:「地球温暖化の影響は想定より深刻、IPCCが警告」

「要するに、火災が発生しやすい季節が長くなるということは、甚大な被害をもたらす現象が起こりやすくなるということです」(参考記事:「夏の異常気象、2100年までに1.5倍に? 最新研究」

文=Robin George Andrews/訳=三枝小夜子

おすすめ関連書籍

地の果てのありえない物語

地球最後の秘境45のエピソード

地球をあなどるな!今、世界の果てで起きている人間と大自然の驚きの出来事45話。

定価:本体2,600円+税

  • このエントリーをはてなブックマークに追加