巨大な炎の渦は「火災竜巻」だった?米の山火事で

火災による一般的な火の渦よりはるかに強力で大規模、カリフォルニア

2018.12.25
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竜巻は上から、旋風は下から

 米国気象学会の定義によれば、竜巻とは、積乱雲から細長く垂れ下がる風の渦だ。積乱雲は底が平らで上部が膨らんだ雲で、しばしば雷雨を伴う。竜巻は猛スピードで回転していて、その威力は通常、EFスケールを使って表現される。これは被害の大きさから風の強さを見積もり、0から5までの6段階で表した尺度だ。(参考記事:「巨大竜巻との死闘」

 一方、森林火災の際によく発生する火災旋風は、厳密に言うと竜巻ではない。火災旋風の寿命はほんの数分と短く、回転は遅く、高さはせいぜい45メートル程度である。火災によって上昇気流が生じ、周囲から中に押し寄せてくる風が回転しながら上へ上へと伸びていくことによって形成される。(参考記事:「火災旋風の恐怖:発生メカニズム」「【動画】山火事で発生した火災旋風」「ハンガリー上空に発生した火災旋風」

米国カリフォルニア州サンタバーバラ近郊で発生したシャーパ火災による火災旋風。2016年6月18日早朝の様子。(PHOTOGRAPHY BY DAVID MCNEW/AFP/GETTY IMAGES)
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 火災竜巻は火災旋風よりも大規模で、より強力だ。それでは、7月26日の炎の渦はどちらだったのだろう? 答えは、渦がどのように形成されたかによって決まる。幸運なことにたまたま、その日の渦は数カ所のレーダー観測点で捉えられていた。

 観測データは、7月26日の炎の渦の上空に火災積乱雲があったことを裏付けている。火災積乱雲は、森林火災の熱が作り出す強い上昇気流によってもくもくと発生する雲で、雷雨をもたらすこともある。カー火災の際に形成された火災積乱雲は、わずか15分間で高さ6kmから12kmまで成長した。(参考記事:「炎が生む“積乱雲”の恐怖」

 そのとき、炎の渦が急速に風を強めてモンスター化し、高さは5.2kmにまで達した。雲と風の危険なダンスが意味するのは、この渦が通常の火災旋風ではなく竜巻に近いということだ。

 しかし、ラロー氏らの研究チームが地球物理学の専門誌「Geophysical Research Letters」11月号で報告しているように、このデータは炎の渦が火災積乱雲と物理的につながっていることを示したわけではないため、本当に火災竜巻だったのかどうかはまだ確定していない。

次ページ:私たちはまだこの現象を予測できない

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