北海道より大きな海洋保護区を新設、アルゼンチン

南極との間に2カ所、保護区が広がった以上の大きな意味とは

2018.12.18
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 ナショナル ジオグラフィックは2018年、ヤーガネスとヌマンクーラ・バードウッド・バンクを調査。水深1800メートルを超す深海で研究者や写真家たちがカメラを操作し、海の様子を探った。その結果、海底山脈や深海の峡谷があり、豊かな生物多様性を育んでいることがわかった。確認された種の多くが、世界のここでしか見られないものだった。

 海洋哺乳類も同様だ。かつてヤーガネスでは捕鯨が盛んで、ミナミセミクジラの個体数が深刻な打撃を受けた。だが、アルゼンチンが国際捕鯨委員会(IWC)に加盟した1960年に同国での捕鯨は終了したため、個体数は徐々に回復し始めている。(参考記事:「パタゴニアでクジラが謎の大量死」

世界の海の10%を保護区にできるか

 海洋保護区が新たに2つ設置されたことで、アルゼンチンの領海の8%が保護対象となった。2020年までに領海の10%を保護するという同国の目標に近づいたことになる。

 2020年までに世界の海の10%を保護するという国連の大きな目標を達成するため、各国政府は海洋保護区を盛んに活用している。保護区内で漁業などの活動を禁じれば、漁業資源を回復させることができ、商業漁業が可能な海域にもその効果が波及する。米海洋大気局(NOAA)のジェーン・ルブチェンコ前局長は、以前にナショナル ジオグラフィックが行ったインタビューで、海洋保護区の設置を、風邪の症状が出る前のビタミンC注射にたとえている。(参考記事:「国連が公海の保護条約協議へ、「海洋版パリ協定」」

【参考ギャラリー】世界水中写真コンテスト、多彩な受賞作13点(画像クリックでギャラリーへ)
「踊るタコ」(PHOTOGRAPH BY GABRIEL BARATHIEU, UPY 2017)

 世界各地に海洋保護区が設けられているが、実際にはその多くで実効性のある保護策が取られていないことが、2018年3月の研究で明らかになった。各国の自己申告による保護では、国連は目標を達成できない可能性がある。(参考記事:「本州の9割強相当の海洋保護区を設立、セーシェル」

 それでもアルゼンチンは立ち向かおうとしている。「アルゼンチンは海洋保護の遅れを取り戻しているのです」とムニョス氏は言う。「そして今、世界の自然保護をリードする国の1つになろうとしています」

 ヘイノネン氏によれば、アルゼンチン動植物基金は今後の保護活動でチリとも協議していくという。チリもやはり南極大陸に近いという共通点がある。同基金は、南大西洋に共同保護区を創設できればと期待している。

文=Sarah Gibbens/訳=高野夏美

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