実はここにも!身の回りのパーム油を調べてみた

特集「パーム油と森林保護」の著者が、生活の中に隠れたパーム油を考えた

2018.12.19
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マレーシアのプランテーションの労働者が手のひらにのせているのは、アブラヤシの実。世界で最も広く使われている食用油、パーム油の原料だ。(PHOTOGRAPH BY PASCAL MAITRE)
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 パーム油の問題を何年も追いかけ、ナショナル ジオグラフィック2018年12月号の特集「パーム油と森林保護」を執筆したジャーナリストが、ふだんの生活でどれほどのパーム油に接しているのか試してみた。

 雪の降る12月の朝、私はベッドからはい出ると、洗面所で手を洗って歯を磨き、顔に保湿クリームを塗った。外が明るくなる前から、私の手や顔、舌はすでにパーム油に接触している。

 12月号の特集に書いたように、パーム油は世界で最も広く使われている食用油で、世界中で消費される全植物油の3分の1を占める。原料のアブラヤシは収穫量が多い作物だが、その栽培のために広大な森林が犠牲になってきた。アブラヤシ農園の拡大により、人権侵害や野生生物の減少、二酸化炭素排出量の急激な増加といった問題が引き起こされている。(参考記事:「焼かれる生息地、オランウータンの窮状」

「ちょっと待って。成分表に『パーム油』と書かれているのを見たことがないんだけど」と思うかもしれない。おそらくその通りだが、それでもパーム油は使われている。パーム油は、他の成分の原料なのだ。

 パーム油は、私たちの生活のいたるところで使われている。1日の生活のなかで、自分はどれだけのパーム油を使っているのだろうか。

バスルームで見つかるパーム油

 例えば、私の家族が好きなボディソープには、その他の成分に混じってデシルグルコシドと記載されている。デシルグルコシドは、ベビーシャンプーや敏感肌用製品で使用されている界面活性剤だ。その原料の1つである脂肪族アルコールのデカノールは、多くの場合、パーム油に由来する。

 このボディソープには、別の成分ラウリルグルコシドも含まれている。こちらもココナッツオイルやパーム油から作られる界面活性剤だ。ラウリルグルコシドは、私が使っている歯磨き粉にも入っている。歯磨き粉には、発泡剤としてラウリル硫酸ナトリウムが使われており、この原料もパーム油だ。

 また、我が家のコンディショナーには、グリセリンやセテアリルアルコールという形でパーム油が含まれている。セテアリルアルコールは、コンディショナーにとろみをつけるために使われている。

 もちろん、製品にパーム油が含まれているという理由だけで、環境破壊を助長していることにはならない。「持続可能」な方法で作られたパーム油もある。

 例えば、我が家で使っているボディソープとコンディショナーの製造元「アラフィア」は、Facebookページでパーム油の使用について具体的に述べている。「当社の天然アブラヤシは、西アフリカにあるトーゴ、マリタイム州の町チェビエからパリメにかけての小規模農家で栽培および収穫されています。パーム油は、同国ソコデにある当社のフェアトレード協同組合が、伝統的な手法で抽出しています」

 また、私が使っている歯磨き粉の製造元「Tom’s of Maine」によると、この歯磨き粉の成分はすべて、生物多様性の保護と持続可能な生活の両立を目指す国際的な非営利団体である「レインフォレスト・アライアンス」や「持続可能なパーム油のための円卓会議(RSPO)」が持続可能だと認定したパーム油のみを使用して作られている。(参考記事:「アフリカの小国ガボンで探る新しいパーム油生産」

 しかし、製品にパーム油が含まれているかどうかを知るだけでも一苦労なのに、それが「持続可能な」パーム油かどうかなどそう簡単にはわからない。私はその日の後半を費やして、我が家で使用している全製品の成分表に書かれている小さな文字に目を凝らし、パーム油が使われているかどうかを調べることにした。

 米大手スーパーマーケット「トレーダージョーズ」の顔用保湿クリームには、パルミチン酸アスコルビル、パルミチン酸レチニル、エチルヘキシルグリセリン、ステアリン酸グリセリルなどなどが含まれており、全成分に何らかの形でパーム油が使われていることがわかった。まるでアブラヤシ農家の夢のような製品だ(トレーダージョーズの製品についてのFAQには、ココナッツオイルやオリーブオイルに関する情報は載っているが、パーム油については何も書かれていない。なお、同社はRSPOのメンバーではない)。

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