エクアドルの自然保護事情

 エクアドルの自然保護制度は比較的強力だ。名目上、国土の少なくとも20%は伐採や開発ができない地域に指定されている。しかし、取り締まりが緩い場合もあり、国立公園の中でさえ伐採が急速に進んでいると指摘する保護活動家もいる。チョコ地域で活動しているいくつかの団体は、それに対抗するため、保護区域のすぐ外側にある土地を購入したり、伐採された場所に植樹したりする活動を行っている。その費用をまかなうために、エコツアーも開催している。「トロピカル・ハーピング」はそのひとつだ。

【閲覧注意】母親の背中から生まれるカエルの子ども
皮膚の中に子どもがいる。コモリガエルの母親の背中の穴から、たくさんの子カエルが生まれる。(説明は英語です)

 一度に購入できる土地は限られているため、完璧な解決策とは言えない。しかし、「ひとまず緩衝地帯を設けて開発を防ぐというのは、効果的な方法です」と話すのは、これまでにツノフクロアマガエルの当面の生息地を含む200平方キロメートル余りの土地を購入している「ホコトコ基金」の代表、マーティン・シェーファー氏だ。寄付は誰でも行うことができる。200ドルで約4000平方メートルの土地を購入でき、基金も同額を拠出する。

 もちろん、地元の土地所有者全員がカエルの絶滅や森林の消失を気にかけているとは限らない。「生き残るために必要なことだけをする人もいます。それは、森林を伐採する会社に土地を売ることなのかもしれません」とディ・ドメニコ氏は言う。しかし、自然保護活動に協力してくれる人もいるという。「地元の人々が自然保護活動に参加すると、アイデンティティやつながりを感じ、動物たちのことを気にし始めてくれるのです。私はその様子を直接見てきました」

 同氏がこの地域でエコツアーを開催するときは、「何も壊さず、もっとよい方法で、生物多様性には人々に益をもたらす価値があります」というメッセージを伝えようとしているという。

チョコ地域の一部も含まれるエクアドル西部の熱帯雨林は、多様な生物が暮らす貴重な場所だ。この雲の下には、世界の全種類の植物のうち少なくとも25%が生息している。ここでしか見ることができない動物も多い。(PHOTOGRAPH BY LUCAS BUSTAMANTE, TROPICAL HERPING)
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アマゾンにも匹敵する生物多様性

 正式にはトゥンベス・チョコ・マグダレナ生態地域と呼ばれる一帯は、東側はアンデス山脈に接し、北はコロンビアを抜けてパナマまで、南はペルー北西部までのびている。ツノフクロアマガエルの生息地はその一部で、エクアドルでもっとも手つかずの低地雨林が残されており、ジャガーなどの貴重な最上位捕食者も生息する場所だ。しかし、ここは世界でも特に危険にさらされている場所の一つでもある。「チョコの生物多様性はアマゾンにも匹敵するほどです。しかし、ほとんど調査は行われておらず、急速に消滅しつつあります」とディ・ドメニコ氏は言う。(参考記事:「世界はアマゾンを救えるか、はびこる闇と負の連鎖」

 だからこそ、この地域を優先的に保護すべきだと主張する生物学者もいる。前出のマーティン・シェーファー氏は訴える。

「この珍しいカエルもそうですが、チョコの野生生物を救えるときは今しかありません」

【参考ギャラリー】キュート&カラフルな両生類、写真23点(写真クリックでギャラリーページへ)
ミツヅノコノハガエル(Megophrys nasuta)。(PHOTOGRAPH BY JOEL SARTORE, NATIONAL GEOGRAPHIC PHOTO ARK)

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