深海に生命あふれるサンゴ生態系発見、米大西洋沖

トランプ政権が保護区指定を解除しようとする大西洋の深海底に多様な生物が生息

2018.12.13
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水深900メートルでティム・シャンク氏が目にしたのは、ライドニアキャニオンの西側の壁に群がるたくさんの生き物だった。(PHOTOGRAPH BY LUIS LAMAR, NATIONAL GEOGRAPHIC)
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国定保護区の今後

 深海の激しい水圧に耐えて、測定や生命の痕跡を探せるオルフィウス号は、地球の海を探査するだけでなく、将来的には生命の存在の可能性が指摘されている木星の衛星エウロパ探査にも送り込まれる予定だ。(参考記事:「【解説】木星の衛星エウロパに間欠泉、ほぼ確実」

 アース・ジャスティスや自然資源保護評議会といった環境保護団体は、トランプ政権がこの海域の国定保護区の指定を解くようなことになれば、裁判所への提訴も辞さないと表明した。

 アルーシア号の研究者たちは「探査は、まだ保護区の表面をわずかに調べたに過ぎない」と強調した。シャンク氏も、国定保護区をマンハッタンに例えて「まだ車1台分の駐車スペースしか調査できていない」と説明する。

 グランドキャニオンをはるかにしのぐ巨大な海底渓谷に、どこまでも続く海底山脈。その暗闇には、まだ調査すべき多くの謎の海洋生物が潜んでいるだろう。

ライドニアキャニオンへの下降に備える潜水艇ナディール号。人間を乗せた潜水艇は、水深900メートル近くまで下降した。(PHOTOGRAPH BY LUIS LAMAR, NATIONAL GEOGRAPHIC)
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ギャラリー:驚きの深海サンゴ生態系、命あふれる大西洋の海洋保護区 写真8点(写真クリックでギャラリーページへ)
ポリプの間にすみついたアミ。この調査では新種の深海サンゴも発見されており、科学者は極限の環境に適応するためにこれらのサンゴがどのように進化したかを研究する予定だ。(PHOTOGRAPH BY IVAN AGERTON, OCEANX MEDIA)
危機に直面する海洋保護
2016年9月15日、オバマ前大統領はニューイングランド沖大西洋の海域1万2700キロをノースイースト・キャニオン・アンド・シーマウント海洋国定保護区に指定した。保護区内にある海底渓谷や死火山の海洋生物を保護するため、漁業と資源採掘は禁止されている。(RILEY D. CHAMPINE, NG STAFF, SOURCES: THE PEW CHARITABLE TRUST, ESRI, DELORME, GENERAL BATHYMETRIC CHART OF THE OCEANS, NOAA NCEI)
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文=Sarah Gibbens/訳=ルーバー荒井ハンナ

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