欧州ホタテ、全身にプラスチック粒子残留の可能性

自然環境に相当する汚染濃度で実験、小さなウイルスほどのナノ粒子

2018.12.07
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食用として広く流通しているヨーロッパホタテガイ(Pecten maximus)。自然環境に相当する汚染濃度で、極小のナノプラスチック粒子が6時間で全身に行き渡ることが明らかになった。(PHOTOGRAPH BY AGE FOTOSTOCK/ALAMY STOCK PHOTO)
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 英国沖で採取されたヨーロッパホタテガイ(Pecten maximus)を使い、プラスチック粒子の摂取状況を研究した結果が発表された。論文によると、粒子のサイズによっては、腎臓、えら、筋肉など、全身に行き渡ることが明らかになった。しかも、すべての過程が6時間以内に完了する。

 論文は11月20日付けの学術誌「Environmental Science & Technology」に掲載された。研究を率いたのは南東イングランドにあるプリマス大学のチームで、スコットランドやカナダの科学者も参加した。

 野生生物のプラスチック摂取に関する研究結果が、目下、続々と報告されている。今回の研究もそのひとつであり、いまだに明らかになっていない食物連鎖や人体への影響に関する疑問を投げかけている。(参考記事:「人体にマイクロプラスチック、初の報告」

 今回の研究の新しい点は、プラスチックの摂取量にとどまらず、その粒子が体内に取り込まれた結果にまで踏み込んだ点だ。そして、小さなウイルスほどの24ナノメートルのプラスチック粒子は、全身の主要臓器に驚くほど素早く散らばった。(参考記事:「9割の食塩からマイクロプラスチックを検出」

24ナノメートルと250ナノメートルの違い

 研究チームを率いたプリマス大学国際海洋研究センターの所長リチャード・トンプソン氏は、研究成果だけでなく、プラスチック粒子の追跡方法においても「画期的」と表現する。

「有機体への影響を理解したいのであれば、ナノ粒子が摂取、排出される仕組みだけでなく、体内の組織への分布についても理解することが不可欠です」と、トンプソン氏は声明で説明している。

 論文によれば、世界の海面には推定51兆個のマイクロプラスチックが浮遊しているという。(参考記事:「忍び寄るマイクロプラスチック汚染の真実」

 論文の著者の1人で、研究を主導したプリマス大学、マヤ・アル・シド・チェイク氏は、ホタテが食べたプラスチック粒子を追跡するため、「斬新なアプローチ」を用いたという。具体的には、追跡可能なラベル付きのナノプラスチックを作成し、ホタテが暮らす沿岸水域の「自然環境に相当するプラスチック濃度」の水槽にホタテを投入した。

 その後、プラスチックを含まない海水にホタテを戻すと、24ナノメートルの小さいは体内から消えるまでに14日かかったのに対し、250ナノメートルの粒子は48日後も残っていた。ただし、250ナノメートルの粒子は全身には行き渡らず、内臓だけに蓄積した。

 なお、ホタテがプラスチックに長くさらされた場合の影響や、ホタテを食べた人へのリスクについてはまだわからない。(参考記事:「マイクロプラスチックの健康への影響は?」

【参考ギャラリー】プラスチックごみに翻弄される動物たち、写真10点(写真クリックでギャラリーページへ)
ビニール袋のそばを泳ぐジンベエザメ。ジンベエザメは最大の魚だが、プラスチック片を食べてしまう危険にさらされている。イエメンに面するアデン湾で撮影。(PHOTOGRAPH BY THOMAS P. PESCHAK, NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE)

文=LAURA PARKER/訳=米井香織

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