謎の地震が世界を駆け巡る、20分超継続、原因不明

アフリカ東沖で11月に発生、ハワイにまで届くも誰も気づかず

2018.12.05
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「わからないことだらけです」

 これまでの科学的調査によれば、今回の地震は、5月からマヨット島を襲ってきた群発地震と関連しているようだ。当時、今回の奇妙な揺れが発生した場所の少し東、マヨット島の約50キロメートル沖で、何百という地震が起きた。ほとんどは小さなものだったが、5月15日には、マヨットの観測史上最大のマグニチュード5.8を記録した。とはいえ、地震の頻度は最近では下がっていた。それに、11月11日に謎の震動が始まったとき、いわゆる普通の地震は起こっていないのだ。

 フランス地質調査所(BRGM)が11月の地震を詳細に調べているが、どうやら沖合で新しい火山活動が始まっているらしいとわかってきた。マヨット島自体が火山島だが、もう4000年以上、噴火していない。BRGMの調査によれば、この新しい活動は島ではなく、そのはるか沖合の海底下で、マグマの移動が起こっていることを示している可能性がある。島民にとっては朗報なのだが、詳細な調査が進んでいない地域であるため、地質学者にとっては面倒な事態だ。(参考記事:「【動画】ドローンがとらえた煮えたぎる溶岩湖」

「群発地震が起こっている地域は、地質図の端っこにあるんです」と、BRGMで地震波および火山活動のリスクを調査するチームを率いるニコラ・タイユフェール氏は話す。「わからないことだらけです」。11月11日の謎の地震波については、「私たちの調査所で記録された震動の中でも、初めての部類のものです」とのことだ。(参考記事:「古代の超巨大噴火、人類はこうして生き延びた」

自然現象にしては完璧すぎる

 フランスの全国地理学会のデータによると、マヨット島のGPS観測所の記録では、7月中旬以降、島は東に6センチメートル以上、そして南に3センチメートルほど移動している。フランス、パリ高等師範学校のピエール・ブリオール氏はこのデータを用い、マヨット付近の地下で1.4立方キロメートルほどのマグマが動いているのではないかと推測している。(参考記事:「【動画】巨大な地割れで道路と家が崩壊、ケニア

 謎の地震のはじめの部分は、ごく小さなP波とS波と重なっていたと、民間の地震コンサルタント、アンソニー・ローマックス氏は言う。低周波の波形を取り除くことで、かすかな“ピン”を見つけられたのだ。このような“ピン”は大抵、マグマが岩石を破砕しながら動いていることを示すものだ。しかし、これらの波形もやはり少し変わっていたのだ、と英スコットランド、グラスゴー大学で応用火山学を研究する博士課程の大学院生、ヘレン・ロビンソン氏は話す。

「あまりにも整っていて、自然現象にしては完璧すぎるんです」と、同氏は半ば冗談のように言いつつ、マヨット島沖の海中で風力発電や採掘が行われているわけではないので、人工的な原因はあり得ない、と急いで付け足した。(参考記事:「人為的な地震は150年間で728件発生、最新報告」

 エクストローム氏は、11月11日の出来事はやはり、マグニチュード5クラスの地震によって起きたのだろうと見ている。同氏の推察によれば、いわゆるスロー地震だったために、ほとんどの人が気づかなかった。スロー地震は、何分、何時間、ときに何日もかけて、ひずみが段階的に解消されていくことによるもので、普通の地震よりも静かで遅いのだ。(参考記事:「南アジアで巨大地震の可能性、最大でM9.0」

「変動は起こるのですが、一気には起こらないということです」とエクストローム氏は話す。

 こうしたゆっくりとした地震は大抵、火山活動によるものだ。コンゴ民主共和国のニイラゴンゴ山では、過去にマグマ溜りの天井の崩壊によると思われるスロー地震と低周波が観測された。最近では、ハワイ島のキラウエア火山の噴火においても、驚くほど頻繁にスロー地震が起こった。世界中に地震波を到達させたスロー地震が、5月から7月末にかけて60近くも観測されたのだ。(参考記事:「ニイラゴンゴ山の噴火口」「【動画】ハワイで「溶岩の滝」が海へ、圧巻の光景」

大迫力、空から至近距離で撮ったハワイの溶岩 10点(写真クリックでギャラリーページへ)
米国ハワイ島、キラウエア火山から流れる溶岩流。ドローンを使って撮影した。(PHOTOGRAPH BY EREZ MAROM)

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