宣教師を殺害したインド孤立部族、侵入者拒む歴史

最後の手記には「矢が聖書を貫通した」、過去にはナショジオ取材班も

2018.12.01
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 11月17日、漁師たちは島の様子を確認しに行った。のちに警察による事情聴取を受けた彼らは、遠くの海上から、センチネル族が浜辺で遺体を引きずり、それを埋葬するのを見たと語った。身につけているものと体形から、彼らはそれがチャウ氏の遺体だろうと思ったという。(参考記事:「森の部族に身を捧げた男、二度と帰ってこなかった」

 インド政府は、この事件に関連して、漁師たちと地元のエンジニア1名と、チャウ氏の今回の旅の計画を手伝った宣教師「アレキサンダー」の計7名を「過失殺人」により告発した。

インド領の北センチネル島はサンゴ礁に囲まれた孤島で、外からの立ち入りが厳しく制限されている。センチネル族の人々は、数千年、もしかすると数万年前からこの島に住んでいる。(PHOTOGRAPH BY GAUTAM SINGH, AP)
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「彼は自分がおそらく殺されることを知っていました」と、アンダマン諸島の先住民との交流の経験を『The Land of Naked People(裸の人々の土地)』という本にまとめたマドゥスリー・ムカジー氏は語る。「彼はキリスト教の殉教者になることを望み、その望みを叶えたのです。けれども彼は、自分の行動をきっかけにいろいろなことが起こり、結果的にセンチネル族に害を及ぼすことになる可能性は考えていなかったでしょう」

 ムカジー氏は、チャウ氏の遺体回収が国際的な圧力を受けて強行されるのではないかと危惧している。そのような試みは、予期せぬ破滅的な結果をもたらすかもしれない。「センチネル族の歴史上、大きな転換点となるかもしれません」

 チャウ氏の失踪を受け、インド当局は遺体が埋葬された場所を確認するため、2人の漁師とともに、飛行機で1回、舟で2回、島に向かった。舟で2回目に島を訪れた警察は、弓と矢で武装した5、6人の男性が浜辺で見張りをしているのを目撃した。

 アンダマン警察のディペンドラ・パサック長官は、ポートブレアの自宅でナショナル ジオグラフィックの電話インタビューに答えて、「現時点では、センチネル族と対決したり島に上陸したりすることは計画していません。そんなことをしたら、彼らを追い詰めてしまいますから」と語った。

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