アフリカの小国ガボンで探る新しいパーム油生産

アブラヤシ栽培と森林保護のバランスを見つけ出せるか

2018.11.30
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収穫されたアブラヤシの果房が搾油工場へと運ばれていく。マレーシアで撮影。PHOTOGRAPH BY PASCAL MAITRE

 パーム油は今や、世界全体で消費される植物油の3分の1を占める。インドなどでは調理油として一般的だし、クッキーやピザ生地、パン、口紅、せっけんなど、原材料にパーム油が入っていないものを探すのは難しいほどだ。環境にやさしいとされるバイオディーゼル燃料にもパーム油が使われている。

 最大の消費国はインドで世界全体の17%を占め、後にインドネシア、EU(欧州連合)、中国が続く。2018年の世界の消費量は6550万トンになると予測され、1人当たりに換算すると、約9キロを使う計算だ。

 こうした膨大な需要が自然環境を大きく損なってきている。東南アジアのボルネオ島では、1973年から4万平方キロを超す熱帯雨林が伐採されて焼き払われ、アブラヤシ農園に変えられてきた。2000年以降に限れば、消失した森林の半分近くがアブラヤシ栽培のためだった。

 森林伐採は野生動物に打撃を与える。気候変動も加速させている。インドネシアが排出する温室効果ガスの半分近くが、森林伐採をはじめとする土地利用の変化によってもたらされたものだ。同国で頻発する森林火災と煙霧には、アブラヤシ農園を造るために火を放たれたものが多い。

 こうした環境破壊を防ごうとする取り組みが、中部アフリカのガボンで始まっている。赤道上に位置するこの国は、面積が日本の3分の2ほどで、人口は203万人と少ない。国土の76%以上が森林に覆われ、11%が国立公園として保護されている、まさに野生動物の楽園だ。

過去に例のない土地利用計画

 ガボンはサハラ砂漠以南のアフリカで国民1人当たりのGDPが4番目に高い。政府の目下の課題は、石油に頼る財源を多角化させることだ。治安は比較的良好だし、素晴らしい自然公園があり、野生動物もたくさんいる。ただし空港が少なく、道路も未整備で、宿泊施設もわずかしかない。それでも観光業が発展する可能性は大きいし、国立公園局もそれを目指している。

 だが、この国が必要としているのは観光だけではない。ガボンは食料の多くを輸入に頼っている。小麦と牛乳はフランスから、牛肉はインドやブラジルからだ。2009年から政権の座にあるアリ・ボンゴ・オンディンバ大統領は、パーム油などの商業的な農業をガボンの経済に導入したいと考えている。そのためには、森の木を切り倒さなくてはならない。

 土地の利用をめぐる対立を避けるため、ガボン政府は過去に例のない国家主導の土地利用計画に乗り出した。「私たちがガボンで探っているのは、森を失わずに、アブラヤシ栽培と農業と森林保護が共存できる方法です」と、ガボン国立公園局を率いる保全生物学者のリー・ホワイトは話す。

※ナショナル ジオグラフィック12月号「パーム油と森林保護」では、森を守りながらパーム油生産に取り組むアフリカの小国ガボンの取り組みについて紹介しています。

文=ヒラリー・ロズナー/ジャーナリスト

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