移民集団が押し寄せた小さな町の現実 写真9点

中米から米国をめざし、メキシコを歩き続ける移民「キャラバン」

2018.11.26
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メキシコのサン・ペドロ・タパナテペクの家の中庭で眠る移民たち。(PHOTOGRAPH BY MOISES SAMAN, MAGNUM PHOTOS/NATIONAL GEOGRAPHIC)

 11月初旬の金曜の夜7時半頃、メキシコ南部のメタパという町のアレミ・バルボア・ビクトリオ町長に、1500人の移民キャラバンがメタパに向かっているという電話が入った。電話をかけてきた隣町の町長は、エルサルバドルからの移民たちが歩く様子を見て、メタパで一夜を過ごすつもりなのだろうと推測した。ビクトリオ氏は車に飛び乗り、町から30分の距離にある最寄りの市に行き、卵、砂糖、トイレットペーパー、大型容器入りの水を詰め込んだ。彼女はキラキラ光るマニキュアを施した手で、自腹で300ドルを支払った。

 メタパはグアテマラとの国境付近の小さな町だ。それまでの3週間で、中米から米国をめざして北上する2つの大規模な移民キャラバンがメタパを通過していた。しかし、エルサルバドルの移民キャラバンが町の入口に到着した11月2日まで、この町で夜を明かした移民はいなかった。(参考記事:「増えるベネズエラ難民、ブラジルへなだれ込む」

 祖国での暴力や貧困を逃れて米国で難民申請をしようと、3つの移民キャラバンが相次いで中米を出発し、メキシコを縦断している。10月中旬にホンジュラスを出発した第1陣のうち、少なくとも700人がすでに国境の町ティファナに到着している。国境の向こうはカリフォルニアだ。

【ギャラリー】移民「キャラバン」が押し寄せた小さな町の現実 写真9点(写真クリックでギャラリーページへ)
メキシコのオアハカで道端に座り、乗せてくれる車を待つ人々。彼らは中米諸国から米国国境をめざして旅をしている。数千人の移民が3つの「キャラバン」を形成し、彼らが通過する町は休憩所と食事を提供している。(PHOTOGRAPH BY MOISES SAMAN, MAGNUM PHOTOS/NATIONAL GEOGRAPHIC)

 そこから約2400km離れたテキサスでは、キャラバンを阻止するために急きょ派遣された5600人の米軍部隊が待機している(米国のトランプ大統領は不法入国した移民の難民申請を禁じる大統領令を発していたが、11月19日、サンフランシスコ連邦地裁はこの大統領令を一時的に差し止めた)。移民たちは、徒歩やヒッチハイクやバスを使ってゆっくりとメキシコを移動している。彼らは途中で小さな町に立ち寄って食料や寝場所の提供を受けていて、この歓待が続くことを願っている。(参考記事:「100年前の米国移民排斥、歴史は繰り返す」

 メタパに立ち寄ったグループは、10月31日の水曜日にエルサルバドルの首都サンサルバドルの中央広場を徒歩で出発し、ヒッチハイクや徒歩でグアテマラを通過し、一晩だけ休止してからメキシコに入った。金曜日の朝、彼らは午前3時に起床し、メキシコに通じる国境の橋を渡って合法的に入国しようとした。けれども当局がまとまっての通過を認めなかったため、彼らはグアテマラとメキシコの国境になっているスチアテ川の土手を歩いた。

 川は一見穏やかだが、水中の流れは激しい。人々はゴミ袋とベビーカーを頭上に掲げ、姿勢をまっすぐにして、腰までの高さの川を渡った。対岸にはパトカーが並んでいたが、ずぶ濡れの移民たちはトラブルもなくその前を通り、さらに8時間歩き続けた。

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