四角いうんちをする ウォンバットの秘密

学会で発表、謎だったサイコロ状の糞の仕組みが解明されつつある

2018.11.21
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 1969年からウォンバットを飼育している米シカゴのブルックフィールド動物園のビル・ジーグラー氏は、水分摂取も一因である可能性は認めるが、ウォンバットの消化管の特徴による影響が大きいと話す。「ウォンバット・南オーストラリア」という組織の代表ピーター・クレメンツ氏も同意見で、生息環境とウォンバットの消化管の2つの要素が組み合わさって四角い糞ができると考えている。

 ヤン氏たちの研究でも、その消化管の秘密に迫っている。北米の動物園からは死んだウォンバットの内臓を入手できなかったため、オーストラリアから交通事故で死んだ2匹のウォンバットの腸を取り寄せた。

参考ギャラリー:思わず笑ってしまう野生動物の写真17点(写真クリックでギャラリーページへ)
オラつくペンギンから感極まるリスまで、2018年のコンテストで最終選考に残った作品のなかから、愉快な動物の写真を紹介する。 (PHOTOGRAPH BY MARY MCGOWAN, CWPA/BARCROFT IMAGES)

「最初は、肛門が四角いのか、胃のあたりで(立方体に)整形されるのだろうと考えました」とヤン氏は振り返る。実際に解剖してみると、ヤン氏の予想は誤っていた。ヤン氏たちは、ウォンバットの腸が驚くほど伸縮性があることに気付く。(参考記事:「【動画】スッキリ!なナマコのうんちが偉いわけ」

 食べものが消化管を移動して消化されるなかで、便の形成を助けるのが腸による圧力だ。つまり、便の形は腸の形状によって決まる。そこでヤン氏のチームは、ウォンバットとブタの腸に空気を入れて膨らませ、伸縮性を測定、比較してみた。

 ブタの腸の伸縮性は、比較的均等だった。このため丸い糞が作られる。ところがウォンバットの腸は、これよりずっと不規則な形をしていた。周囲の組織と比べてよく伸びる溝状の構造が2つ見つかったのだ。ヤン氏は、ウォンバットの糞が四角くなるのは、こうした独特の腸の構造によるものだと考えている。(参考記事:「【動画】サボテンを食べまくるラクダ、なぜ平気?」

 発表原稿を査読したスウィンボーン氏は、「生物学的、生理学的な説明にたどり着いたのは、これが初めてでしょう」と話す。同じく初期に査読を行ったクレメンツ氏は、「貴重な発見だと思いますが、糞が立方体になるメカニズムについてもう少し説明できるとよいかもしれません」と付け加える。

 サイコロ状の糞ができる理由には、まだ謎が残っているという点には、当のヤン氏も同意する。この研究はまだ継続中で、ヤン氏は、どうして4つではなく2つの溝で立方体状の糞ができるのか、理由を解明したいと考えている。今回のウォンバットの腸の構造の発見を応用すれば、今後、製造業などに活用できる可能性もある。

 ヤン氏は、自然界で立方体ができること自体が珍しいことだと言う。人間が立方体を作るにしても「やわらかい材質のものを整形するか、固い物質を立方体状に切り出すかのどちらかです。でも、ウォンバットは第3の方法を知っているということですね」とヤン氏は語った。

文=TIK ROOT/訳=鈴木和博

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