バイオプラスチックは環境に優しいって本当?

プラスチック代替品としての潜在能力を専門家に聞いた

2018.11.20
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「海へ流れ込んでも分解しない」

 廃棄されたバイオプラスチックの処理方法は3通りが考えられる。埋め立て処分にするか、石油由来プラスチックと同様にリサイクルするか、堆肥化処理(コンポスト化)するかのいずれかである。

 多くのバイオプラスチックは生分解性をもつため、堆肥化が可能だ。ただし堆肥化には、バイオプラスチックを十分高温にして、微生物が分解できるようにする必要がある。十分に加熱せずに、土に埋めたり家庭用堆肥化容器に入れたりしても、短期間では分解されない。バイオプラスチックが海に流れ込んでも、結末は石油由来プラスチックと同じだ。分解に何十年もかかるため、細かく砕けマイクロプラスチックになり、海洋生物を危険にさらすことになる。(参考記事:「人体にマイクロプラスチック、初の報告」

「PLAはバイオプラスチックですが、流出しても海では生分解が起きません」とジャムベック氏は話す。「石油由来プラスチックとなんら変わりません。処理場で堆肥化できますが、もし町に処理場がなければ、なんの意味もないのです」

それでもバイオプラスチックを使うべきか?

 米コロラド州にあるエコプロダクツ社は、米国最大手のバイオプラスチック・メーカーだ。同社は、米ネブラスカ州にある化学メーカーのネイチャーワークス社からトウモロコシ系のPLA原料を買っている。ネイチャーワークスは、家畜の飼料や甘味料、エタノールなども製造している。

 バイオプラスチックの需要は増えつつあると、プラスチックの業界団体「プラスチック産業協会」のパトリック・クリーガー氏は言う。理由のひとつは、従来のプラスチックの代替品に対する消費者の関心が高まったこと、もう一つはより効率的な技術が開発されたことだ。

 それでも、堆肥化処理場はまったく足りておらず、バイオプラスチックは、海に流入するプラスチックの削減にほとんど役に立っていないと環境保護の活動家は言う。(参考記事:「「日本でもレジ袋の規制に踏み出すべき時」」

 環境系非営利団体「ロンリー・ホエール」は2017年にシアトルでプラスチック製ストロー禁止運動を実施するなど、プラスチック問題に取り組んでいる。この取り組みの一環として同団体では、代替品としてバイオプラスチック製ストローを推奨すべきかを検討した。その結果、地元企業は堆肥化容器を持っていても、実際にそれを使ってバイオプラスチック製品を堆肥化したことはほとんどない、ということがわかった。(参考記事:「1日5億本、「ストローいりません」が米国で拡大中」

次ページ:「環境に良いという気持ちになりますが」

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