氷河の下に巨大クレーターを発見、直径31km

約1万年前の寒冷化とも関連か? グリーンランド

2018.11.16
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 新たに入手した正確なレーダーデータを基に、研究チームはクレーターの形状をより精密に導き出した。その結果、クレーターの深さが320メートルほどあることがわかった。また、クレーターの中心に約50〜70メートル盛り上がっている場所があることも判明した。キアル氏によれば、これは隕石の衝突によってできるクレーターの特徴だという。

 堆積物の試料からは、いわゆる衝撃石英の粒子が見つかった。石英はありふれた鉱物だが、衝撃石英は、隕石の衝突などの強力なエネルギーを受けたせいで、特異な構造をもつようになった石英だ。また、一部の粒子はトースティングと呼ばれる茶色みを帯びていた。こちらも巨大なエネルギーを受けた証拠だ。衝撃変成作用によってガラスに変化した鉱物も確認された。

 クレーターの大きさから、隕石は大気圏に突入した時点で直径約1200メートル、重さ110〜120億トンだったと研究チームは予測している。さらに、鉱物の分析結果から、鉄を多く含む隕石だったと確信している。デンマーク自然史博物館にある隕石のかけらも同じタイプだ。ただしキアル氏は、両者の関連性を証明するにはさらなる分析が必要だとしている。

 円形のくぼみがあるとわかった今、氷の上からでも輪郭が見えるとキアル氏は話している。

 マグレガー氏も同様だ。「7.5センチくらいのグリーンランド地図がプリントされたコーヒーマグを持っていますが、いまや私にはハイアワサ氷河が見えます。実は丸見えだったのに気付かなかったのです」

ハイアワサ氷河を望む。ずっと以前から知られているが、最近までほとんど研究されていなかった。(PHOTOGRAPH BY JOHN SONNTAG, NASA)
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氷河を直撃か

 しかし、オーストリアのウィーン自然史博物館に所属する衝突クレーターの専門家ルドビック・フェリエール氏は懐疑的だ。同氏は今回の研究に参加していない。

 ナショナル ジオグラフィックのエクスプローラーでもあるフェリエール氏は「彼らが衝撃石英だと言っているものは、間違いなく衝撃石英だと断言できます」と話す。ただし、もっと多くの試料を分析してからでないと、氷河の下から採取した石英が必ずしも衝突クレーター由来のものとは確信できないとも述べている。

 キアル氏はこれに対し、まだ試料はたくさんあり、一粒一粒調べるつもりだと反論する。さらに、レーダーを使って氷河の下の水系を地図にしたものを根拠に、「氷河の中から来たのでなければ、いったいどこから来たというのでしょう?」と問いかけている。

 フェリエール氏はクレーター中心の盛り上がりについても、大きな衝突クレーターにしては小さすぎると指摘している。考えられるのは、そもそも衝突クレーターではないか、衝突クレーターだったとしてもかなり浸食されたかのどちらかだという。

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