氷河の下に巨大クレーターを発見、直径31km

約1万年前の寒冷化とも関連か? グリーンランド

2018.11.16
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NASAの調査ミッション「オペレーション・アイスブリッジ」で撮影したグリーンランド、ハイアワサ氷河の写真を基にしたパステル画(作品名「Hiawatha Basin, Greenland」 2017年)。このハイアワサ氷河の驚くべき秘密が発見され、ごく近い地球史に関する新たな疑問が浮かび上がった。(ART BY ZARIA FORMAN)
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 国際的な研究チームが11月14日付けの科学誌「Science Advances」に論文を発表し、グリーンランド北西部のハイアワサ氷河の下に隕石の衝突による巨大なクレーターが見つかったと報告した。もし本物と確認されれば、氷の下で見つかった初めての衝突クレーターだという。クレーターの直径は推定31キロ。東京23区がほぼ収まる大きさで、これまでに地球上で発見されたクレーターの大きさとしては上位25位に入る。(参考記事:「地球の大規模クレーター10選」

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「2015年まで、この一帯はあまり注目されていませんでした」と話すのは、米メリーランド州にあるNASAゴダード宇宙飛行センターの雪氷学者で、今回の論文の執筆にも加わったジョセフ・マグレガー氏。しかし2015年、NASAの調査ミッション「オペレーション・アイスブリッジ」のデータを解析していたチームが、グリーンランド北西部の氷床の下に興味深いものを見つけた。(参考記事:「グリーンランド氷床下に巨大な湖を発見」

 オペレーション・アイスブリッジは、レーザーやレーダーなどの高感度スキャン装置を使って、極地の氷を空から観測する調査ミッションだ。この地域を含め、アイスブリッジのデータはすべて公開されている。そして、データを見たデンマークの雪氷学者グループがあることに気づいた。氷の下の岩盤に、ボウル形のくぼみがはっきり見えたのだ。(参考記事:「南極で巨大氷山の誕生を目撃、山手線内側のほぼ倍」

「衝突クレーターの可能性はないだろうかと彼らが尋ねました」とマグレガー氏は振り返る。「そんなはずはないとみんな笑いました。ですが続けて、もしかしたらそうかもしれないと言ったのです」

 さらに詳しくデータを調べていたとき、1人の雪氷学者がこんな指摘をした。自分たちが毎日すぐそばに自転車をとめているデンマーク自然史博物館に、グリーンランドの同じ地域で採取された大きな隕石があると言うのだ。

「両者に関連性はあるのだろうかと、私たちは自問しました」と、今回の研究を率いたクルト・キアル氏は振り返る。キアル氏は雪氷学の専門家で、コペンハーゲン大学に属するデンマーク自然史博物館の教授だ。

氷の下に隠されたクレーター

 キアル氏らは詳細な情報を得ようと、アイスブリッジの主任研究員を務めるマグレガー氏に接触した。また、ハイアワサ氷河の高解像度スキャンデータを新たに入手するため、ドイツのアルフレッドウェゲナー極地海洋研究所に協力を求めた結果、2016年5月、新型の高感度装置を用いた上空からの追加調査が実現した。さらに、2016年7月、地上チームを現地に派遣。周囲の地表の地質構造を地図にするとともに、氷河の下から流れ出た堆積物を採取した。(参考記事:「世界最北の研究基地ニーオルスンへようこそ、写真20点」

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