6光年先の恒星に、地球型の氷の惑星が見つかる

SF作品でも知られるバーナード星、ついに地球型惑星と発表された

2018.11.19
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太陽(下)からバーナード星(左上)とアルファ・ケンタウリ星系(アルファ・ケンタウリAおよびBとプロキシマ・ケンタウリの三重連星、右上)までの相対的な距離。太陽のまわりの同心円は内側からオールトの雲、2光年、4光年、6光年を示す。(GRAPHIC BY IEEC/SCIENCE-WAVE - GUILLEM RAMISA)
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 その後、追加で実施した300回の観測を経て、リーバス氏らは、バーナード星が233日周期でふらつくことを確認した。

「さらに800近い観測を行い、次の発表の準備をしています」とリーバス氏は言う。「非常にはっきりしたシグナルが得られたので、周期的なふらつきは確実に存在します」

 実は、恒星がふらつくシグナルを見つけて研究は終わり、とはいかないのだ。シグナルが得られたら、今度は恒星の活動など、同じようにふらつきを生じさせる他の要因を除外する必要がある。

 特にバーナード星のような赤色矮星は、一般にフレア(表面での爆発)や活発な質量放出が見られる。こうした星の活動が、惑星の重力が引き起こす現象のように見えることがある。とはいえ、バーナード星はそこまで激しく活動していないことが、これまでの観測から判明している。追加の検証は必要なものの、リーバス氏らは惑星を発見したことは間違いないと自信を見せる。

「今のところ、バーナード星のふらつきは99%、惑星の影響によるものだと考えています。まだ100%ではありませんが」とリーバス氏。

英雄的な努力の末に得られた成果

 リーバス氏らの発表に全面的には同意していない天文学者もいる。前述のペティグラ氏は、「確かにデータには周期的なシグナルがはっきり見えています。そうした周期を複数のデータから確認できることも周期的なシグナルの存在を示すことも認めます。それでも、これで惑星の存在は確実になったと言うにはまだ早いかもしれません」と語る。

 米エール大学のデブラ・フィッシャー氏も、チームの主張の裏づけとなっている20年分のデータが精緻ではないため、決定的な根拠ではないと話す。

「チームの努力は英雄的とも言えるものです。けれども、観測を分析した結果には測定誤差が散見されます。幸い、今はより高精度のデータを提供できる次世代分光計が稼働しています。最新の機器で、バーナード星を追跡観測すべきでしょう」と彼女は話す。

 今回の発表の通りバーナード星に惑星が実在すれば、大きさは地球の3倍以上の「スーパー・アース」(巨大な地球型惑星)で、薄暗い主星の周りを細長い軌道を描いて公転すると推定される。平均表面温度はマイナス170℃と、私たちが知っている生命が生きてゆくには低温すぎる。

「バーナード星の惑星があるなら、木星や土星の衛星を大きくしたようなものでしょうね」とペティグラ氏。「エウロパやガニメデ、カリスト、タイタンのように、岩石と氷からできた天体です」

 残る問題は、この天体に大気を保持できる大きさがあるかということだ。大気があるとしたら、スーパー・アースではなく、小型の海王星のようなガス惑星という可能性も残る。ペティグラ氏は、「地球に似た組成の大気があったとしても、温度が低すぎて液体の水は地表にはないでしょう」と話す。

 SF作品には、『スター・ウォーズ』で象徴的な戦場となったホスや、『スター・トレック』で若きカーク船長がミスター・スポックに出会った氷の惑星デルタ・ヴェガのような氷の惑星が出てくる。(参考記事:「科学に基づいてないとダメだ!――『スター・トレック BEYOND』のジャスティン・リン監督に聞いてみた」

 ちなみに『銀河ヒッチハイク・ガイド』シリーズではバーナード星のまわりを公転する惑星は、単なる中継地点として扱われた。仮にバーナード星の惑星が生命が生きてゆく上で寒すぎたとしても、SF作品にはうってつけの魅力的な惑星であることに変わりはないだろう。

【参考動画】惑星探索衛星TESS
NASAの最新のトランジット系外惑星探索衛星(Transiting Exoplanet Survey Satellite:TESS)について説明します。(解説は英語です)

文=Nadia Drake/訳=三枝小夜子

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