最悪の山火事は、いかにカリフォルニアを襲ったか

「地獄の門が開かれた」、カリフォルニアが直面する破壊の序章にすぎない

2018.11.15
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【ギャラリー】カリフォルニア州史上最悪の山火事 写真18点(写真クリックでギャラリーページへ)
住宅は全焼し、煙突だけが残されている。9日、カリフォルニア州パラダイスで撮影。人口約2万7000人のパラダイスは、引退後の高齢者が多く暮らす山あいの町。当局がキャンプ・ファイアの被害状況を確認していたとき、1台の車から5人の遺体が発見された。ある州職員は町の状況を「壊滅状態」と表現した。(PHOTOGRAPH BY JIM WILSON, THE NEW YORK TIMES/REDUX)

 マリブの北東、101号線の反対側にあるウッドランドヒルズの公会堂では、11日夕方、約350人の避難者が多目的室に身を寄せ合っていた。多くの人が炎を抑制できなかったことへのいら立ちを口にする。

 複数の機関で構成される南カリフォルニアの消防隊は、世界で最も強力な消防隊と評価されている。それでも、人員は不足している。森林保護防火局は12日、ワシントン、オレゴン、アイダホ、ユタ、ニューメキシコ、テキサス、モンタナ州に支援を要請し、消防隊の派遣を受けると発表した。

新しい異常

 2017年12月の「トーマス・ファイア」はサンタバーバラ郡とベンチュラ郡の約1140平方キロに延焼。カリフォルニア史上最大の山火事となった。消防士たちは見たこともない山火事と表現した。

 ところが、わずか8カ月後、トーマス・ファイアをもしのぐ「メンドシーノ・コンプレックス・ファイア」が発生。カリフォルニア州の真ん中に位置するワインカントリーを破壊しただけでなく、炎の竜巻まで発生し、消防隊と見物人を当惑させた。そして、今回の11月8日の山火事。キャンプ・ファイアがパラダイスの町をのみ込むのを目の当たりにした消防士たちは、これほど動きの速い山火事は見たことがないと口をそろえた。

 消防士たちはカリフォルニア史上最も壊滅的な山火事に畏怖の念を抱く一方、ためらうことなくその原因を断言している。

 ロサンゼルス郡消防署長のダリル・オズビー氏は11日朝の記者会見で、「カリフォルニア州に住んでみれば、気候変動のさなかにあることがはっきりわかります」と述べた。「過去7年間のうち6年、私たちは干ばつを経験しました。そして、この夏、観測史上最も暑い夏を経験しました」(参考記事:「山火事の煙害が広域化、死者は年間34万」

 温室効果ガスが地球を暖め続ける限り、秋がどんどん暖かく乾燥したものになり、より速く、より大きく、より危険な火災が引き起こされるという流れは続くと予測されている。(参考記事:「森林火災が地球におよぼすこれだけの影響」

 カリフォルニア大学ロサンゼルス校の気候科学者ダニエル・スウェイン氏は2018年夏、ある論説で、カリフォルニア州知事のジェリー・ブラウン氏が相次ぐ山火事をカリフォルニアの「新しい正常」と言ったことについて、適切な表現ではないと指摘した。「カリフォルニア州は安定期に入ったという前提が間違っています」。スウェイン氏は州と自治体に対し、大規模火災がさらに深刻化するという前提で計画を立てるよう提案した。

 11日、ブラウン氏は前言を撤回した。「これは“新しい正常”などではありません。これは“新しい異常”です」

【この記事の写真をもっと見る】ギャラリー:カリフォルニア州史上最悪の山火事 写真あと15点

文=MARAYA CORNELL/訳=米井香織

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