キクラデス諸島を代表するのが、大理石で知られるパロス島とアポロン神話の聖地デロス島だ。考古学的な発見が相次ぐデスポティコ島を初め、2島以外にも魅力的な場所だ。(Photograph by Rainer Hackenberg, VISUM/Redux)
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 エーゲ海に浮かぶキクラデス諸島は、旅で訪れる人々を魅了する。

 キクラデス諸島の1つに、広さ8平方キロメートルほどの小さな島、デスポティコ島がある。この島は、近年、考古学的に重要な島として注目されている。2010年、この島に1人で暮らす羊飼いがヤギを囲う塀でビザンチン帝国(東ローマ帝国)のコインを見つけ、地図に描かれた宝のありかを見つけたような騒ぎとなった。だがコインの発見は始まりにすぎなかった。それ以上の考古学的な宝がこの島には隠されていたのだ。(参考記事:「【動画】古代ギリシャの沈没船で謎の円盤を発見」

 デスポティコ島の宝の話をする前に、あらためてキクラデス諸島について説明しておこう。キクラデス諸島の中心となるのがデロス島だ。この島は、ギリシャ神話の双子の神アポロンとアルテミスの生地と考えられた「聖なる島」で、古代ギリシャ時代から大きな港があった。この島を取り囲むように島々が浮かび、これらがキクラデス諸島を形成している。

 ちなみに「キクラデス」という名には、聖なる島であるデロス島を囲む、という意味だ。キクラデス諸島は、交易の中心地であるアテナイとクレタ島を結ぶエーゲ海の中間地点に位置し、ギリシャ人にとっての聖地であるデロス島には、船乗りやアポロン神殿に参拝する巡礼者が頻繁に立ち寄った。(参考記事:「古代ギリシャの「失われた島」を発見、エーゲ海」

 デロス島の南にあるのがパロス島。キクラデス諸島を代表する島で、訪れる人が多く、透き通るような美しい白大理石を産出したことで知られる。ギリシャの歴史家エピフォロスは「キクラデスで最も豊かで偉大な島」と称えた。

 考古学者らの推測では、サモトラケのニケやミロのヴィーナスも含め、古代ギリシャ遺物の80パーセントはパロス島産の大理石に彫られたものだ。この貴重な資源は、デロス島の有名な彫像の材料になったほか、交易品としても輸出された。

 この島のほど近くにあるのが、「宝の山」と注目されるデスポティコ島だ。今は人も住まないこの島に、古代ギリシャで最大級の聖地があったことが、最近考古学者らの研究で判明した。パロス島の市民がこの島の大理石で小さな神殿を建て、航海から無事に戻ると、ハチミツ、ワイン、子牛などを神に供えたと考えられている。

「このような聖地は船乗りたちには、とても重要なものでした。神殿が、交易路に沿って並ぶ灯台の役割を果たしたからです」と、パロス島を拠点とするガイドのクリスティーナ・フォキアヌー氏は説明する。「デスポティコ島は、キクラデス諸島の中では、デロス島に次ぐ聖地だったようです」

デスポティコ島の海岸に浮かぶ小さな釣り舟。考古学上、大変重要な島として注目されている。(Photograph by Sergio Pitamitz, Nat Geo Image Collection)
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