南極のウミグモにくっつく生物、どれだけ重荷?

「ヒッチハイカー」がウミグモの生活に及ぼす影響を解明

2018.11.12
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南極に生息する体長約15cmのウミグモ「アンモテア・グラキアリス」。エボシガイがいくつもくっついている。(PHOTOGRAPH BY STEVEN J. LANE)
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 海ではさまざまな生物が、ほかの動物にくっつき、タダ乗りしている。その代表格はフジツボやエボシガイなどの蔓脚類だが、ほかにも数多くいる。これら「ヒッチハイカー」はクジラやウミガメなどあらゆる動物にくっついているが、たいてい害はなく、ときに有益なものもいる。(参考記事:「海のアクセサリーで着飾るカニ 6選」

 では、足手まといにしかならない場合はあるのだろうか?

 ウミグモは世界各地で見られる謎の多い生物だが、彼らもまたヒッチハイカーにタダ乗りされている。新たな研究により、ウミグモの体に付着している生物は、ウミグモの動作に影響を及ぼし、その呼吸を妨げている可能性があることがわかった。ウミグモには肺やエラがなく、体の表面の外骨格から酸素を取り入れているからだ。(参考記事:「【動画】ウミグモは「脚呼吸」、腸で酸素運ぶ」

 海洋生物学の専門誌『Marine Biology』に掲載された論文によると、エボシガイのような比較的大きなヒッチハイカーは、南極のウミグモが水から受ける抵抗を2~3倍に増加させ、歩行に必要なエネルギーを大きくしているという。付着生物によってウミグモの表面積が増えると、海流にもさらわれやすくなる。

 また、ウミグモの体表が藻類やコケムシなどの生物に覆われると、局所的な呼吸は最大50%も減少する可能性があることがわかった。しかし同時に、ほとんどのウミグモでは、付着生物に覆われる比率が全身の呼吸に大きな影響を及ぼすほどではなかった。

南極基地で調べたウミグモは200匹

 この研究を行った米ロヨラ大学の講師スティーブン・レーン氏の研究チームは、南極大陸の3種のウミグモがヒッチハイカーとどのように付き合っているかを調べた。(参考記事:「浮遊生物サルパに乗り込んだタコ、34年ぶり撮影」

 今回調べたウミグモのうち、アンモテア・グラキアリス(Ammothea glacialis)とコロッセンデイス・メガロニクス(Colossendeis megalonyx)は体長18~30cmで、細くて長い脚と小さな体をもち、ザトウムシに似ている。もう1つのニムポン・アウストラレ(Nymphon australe)は、体長約5cmで、ずんぐりしている。

 研究チームは南極にある米国のマクマード基地で2回の夏を過ごし、多くの生物が生息するマクマード湾の冷たい海に潜って調査を行った。1回の潜水時間は30~40分間。「水温が低いので、あまり長くは潜れません」とレーン氏は言う。科学者たちは最終的に、浅瀬から水深30mまでの海で約200匹のウミグモを捕まえた。

南極で最大のウミグモの1つ、コロッセンデイス・アウストラリス(Colossendeis australis)。脚の長さは30cmある。脚と口器は白いコケムシにまだら状に覆われており、先端がかぎ状になった担卵肢という2本の特殊な付属肢も見える。担卵肢は脚の手入れに使われるほか、オスは卵を持ち運ぶのにも使用する。(PHOTOGRAPH BY TIMOTHY R. DWYER (POLARTREC 2016), COURTESY OF ARCUS)
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