【動画】ドローン撮影の功罪 野生動物への影響懸念

ヒグマ親子を撮ったドローン動画がネットで炎上。何が問題だったのか?

2018.11.12
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 野生動物の生息地では、自動車、飛行機、船舶、石油やガスの採掘など人間の活動は、動物にとっては新たなストレスでしかない。 (参考記事:「大西洋掘削が海洋生態系に及ぼすリスク」

ではドローンはどう使えばいいのか?

 では、どうすればいいのだろうか? 今回、話を聞いた専門家の誰一人、「ドローンの使用を禁止すべきだ」と言う人はいなかった。

 英リバプール・ジョン・ムーア大学でドローンを利用した保全生物学を教えているマルガリータ・ムレロ=パズマニー氏は、「クマの動画に寄せられたコメントに、ドローンを悪者扱いする人もいて不安になりました」と話す。「道具が悪用されたからといって、道具そのものを非難するのは誤りです」

 科学者、ドローン愛好家、アウトドア愛好家などドローンを使いたい人と、動物の平穏のバランスを保てる道を探さなくてはならない。 (参考記事:「地震探査の騒音からクジラを守る指針」

 ムレロ=パズマニー氏は2016年の研究で、動物が最も怖がるのはドローンが正面から接近するときなので、ドローンを操縦する際は、正面から近づかないようにと提案している。また飛ばす際には、必要最低限の時間にとどめ、間隔を空けて飛ばすようにすること。また、ガソリンを燃料とする大型ドローンではなく、静音性に優れた電池式の小型ドローンを使うべきだという。飛行高度も重要で、操縦者は有益なデータを収集できる限界の高度よりも降下しないようにドローンを操縦すべきだろう。

 特に、鳥など空を飛ぶ動物、あるいは空を飛ぶ天敵を恐れるように進化してきた動物は、ドローンの存在の影響を受けやすいと考えられる。また、繁殖期など、ライフサイクルの中で特に敏感な時期にある動物を邪魔するようなことも避けるべきだ。絶滅危惧種の動物にも近づけてはいけないだろう。

「ドローンは両刃の剣だと思います」とギルバート氏は言う。ドローンを正しく使えば、人々の野生動物への関心や愛着が高まるだろうし、保全活動への理解も進むだろう。

 私たちは「過度に干渉してはいけないのです」とギルバート氏は語る。

空から見つけた意外な絶景 写真9点(画像クリックでギャラリーへ)
米ニューヨーク市のコロンバス・サークルを行き交う車。(Photograph by Gary Cummins)

文=Jason Bittel/訳=三枝小夜子

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