月面基地ができる日は近い?

 今後、アメリカ、ロシア、中国も含め「資源探査」の側面を持った探査計画が目白押しであり、さらに韓国も計画が後ろ倒しになりつつも月計画を堅持している。これらの結果によっては、ここから先、資源探査の段階すら超えて、一気に月面開発へとつながっていくかもしれない。

「月面で水がたくさんある場所が見つかったとして、よい場所の順に各国から取られていって……というような競争になることも考えられます。そして、企業も進出していくでしょう。月の表面で使う技術は、地球の技術と親和性が高いんですよ。自動車であったり、土木、建築の技術も月で活用できるわけです。ですので月に十分な資源があるとわかれば、そこに企業が参集していくことになるかもしれません。日本では『深宇宙ゲートウェイができて、みんなまた月に行くんだよ』というのもあまり一般には伝わっておらず、ぴんと来ていないと思いますね」(参考記事:「億万長者たちの宇宙開発競争 勝つのは誰?」

 ここまで来ると月の開発をめぐる国際的な合意が必要になってくる。「南極条約」に相当する「月協定」はすでにあるものの、宇宙開発の主要国は批准しておらず実効を持たない。IAC2018では、宇宙法の分野でも多くの分科会が開催され、来るべき未来への国際法整備が話し合われた。日本でも宇宙関係者の間での議論は始まっているものの、一般の認識がまだ追いついていないというのが現状ではないだろか。 世界最大の宇宙会議の現場であきらかな「月シフト」を実感したがゆえ、日本の読者に注意喚起しておきたい。

「はやぶさ2」フィーバー

「はやぶさ2」の実物大模型。
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 余談ではあるが、月フィーバーの背後でしきりと取りざたされたもうひとつの話題は、実は「はやぶさ2」だった。展示場の入り口の一等地に「はやぶさ2」の等倍モデルが置かれているだけでなく、連日、ドイツ航空宇宙センターDLRや欧州宇宙機関ESAなどが記者会見を行い、日本のJAXAとの協同計画の面を強調していた。また研究発表のレベルでも、ちょうど会期中に「はやぶさ2」から分離、小惑星RYUGUに着陸して17時間にわたる観測を無事に終えたMASCOT探査機(ドイツとフランスの担当)の運用チームから誇らしげな報告があるなど、JAXAと「はやぶさ2」が大きくフィーチャーされていた。

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