ついに月の資源争奪戦が始まった、日本の動きは?

世界最大の国際宇宙会議IAC2018を作家の川端裕人氏がレポート

2018.11.09
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 日本の宇宙探査がひとつのブランドとして認知され、探査のパートナーとしても信頼を勝ち得ているのは間違いなく、次期の日欧協力として“火星の月”探査MMX(Martian Moons eXploration)についても繰り返し言及されていた。これについては、技術者会合で進捗を発表したJAXAの川勝康弘教授から解説してもらえた。

「現在はフェーズA、全体計画の策定の段階です。火星にはフォボスとダイモスという月がありますが、そのうちの一つに着陸した上で、試料を持って帰るサンプルリターンを目指しています。中心的なサイエンスのテーマとしては太陽系内の水の輸送の解明です。生命をはぐくむ惑星ができるために必要な水が、いったいどこから来たのか。火星よりも少し外側の軌道の小惑星からだったのではないかという説が有力です。火星の月はまさにその謎の鍵を握っています。というのも、火星の月は、まさに水を運んできた小惑星を捕獲したものかもしれませんし、あるいは大きな小惑星が火星とぶつかった際の破片が集まってできたものかもしれませんので」

 MMXの目標は、太陽系の水輸送、生命をはぐくむ惑星が生まれた謎に迫るものだ。

 ここでも「水」がテーマになっていることは興味深い。

【ギャラリー】世界が沸いた皆既月食と火星のコラボ 写真11点(写真クリックでギャラリーページへ)
月食前、ギリシャ、ケープ・スーニオのポセイドン神殿に昇る満月。

 火星探査については、次々と周回機や着陸機、さらにはローバーを送り込んできたアメリカに加え、欧州、インドも周回軌道での観測を成功させ、UAEも2020年の打ち上げで火星周回軌道への探査機投入を目指している。まだ火星周回軌道での探査実績がない日本は、「火星の月」に焦点を定めた計画をドイツ、フランスと協力して実現しようとしている段階である。「はやぶさ」以来の伝統であるサンプルリターンを実現させ、火星に水がもたらされたルート(ひいては地球に水がもたらされたルート)が解明されたら、ある種の小惑星が資源探査、資源開発の対象としてより強く認識されていく可能性もある。

 火星、月、小惑星など、地球の周回軌道を離れた、いわゆる「深宇宙」の天体が、にわかに「開発」の対象としても見えてきつつあること、そして、日本の「探査」も大きな変化の一翼を担っていることを、我々は理解しておいたほうがよい。

文・写真=川端裕人

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