ついに月の資源争奪戦が始まった、日本の動きは?

世界最大の国際宇宙会議IAC2018を作家の川端裕人氏がレポート

2018.11.09
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月探査はすでに資源探査の段階に

 そこで、各国宇宙機関レベルでの月の探査も注目される。

 日本の月探査は、「はやぶさ」「はやぶさ2」などによる小天体探査と同様、21世紀になってからの評価が高い。アポロ以来久々の大型月探査として、月面の詳細な地図を作った「かぐや」は、21世紀の月探査の幕開けを飾るものとして評価されている。今回のIACでは、連日行われた月関連セッションの第一回目でJAXAの星野健主幹研究開発員が「日本による月の極域探査」の進捗について報告した。この計画は、各国が今、次々と計画を進めている月の極域の水探査のうちの一つに位置づけられている。(参考記事:「「かぐや」が撮った美しい地球、JAXAが全点公開」

 月をめぐって過熱する現況について解説をしてもらった。

「今の状況は、日本の月探査機『かぐや』の成果が関わっているともいえるんです。『かぐや』を皮切りに、中国、インド、アメリカの探査が続きました。中国は月に探査車(ローバー)をおろして走らせるのにも成功しました。現在、各国が月の極域を目指しているのは、多くの探査機の観測データから月の極域に水の存在を示唆するデータが得られていることが大きいです。つまり資源がある可能性があるのです。水があれば水素をつくることができて、燃料を生成することができますので、月に基地を作るメリットが生まれます」

「水」と聞くと、多くの人は、まず飲水になるのではないかと考える。もちろんそれは間違いないのだが、現在の有人飛行では水はリサイクルして使うため、一度、宇宙に持っていったものをかなりの期間利用できる。一方、燃料は燃やせばおしまいなので、特に往路はただの荷物になる「帰路の燃料」を現地調達できる意義は大きい。

登壇して発表中のJAXAの星野健主幹研究開発員。
[画像のクリックで拡大表示]

 いずれにしても各国が計画している月探査は、純然たるサイエンスをはるかに超えて、すでに資源探査の段階に入っている。

「日本の月極域探査は、今は概念検討の段階で、インドと協力して行うことを検討しています。最大の目的は、将来の宇宙探査のために、月にどれだけ水があるかを調べることで、そのために月の極域に着陸して、月面ローバーで移動しながら調べるわけです。日本がロケットと月面ローバーを作って、インドが着陸船を作る想定で、今は概念検討の取りまとめの段階ですね」

 協力相手のインドは、すでに探査機を月の周回軌道にも火星の周回軌道にも、それぞれ投入することに成功しており、将来計画として有人飛行もアナウンスしている新しいプレイヤーだ。(参考記事:「民間チームが挑む 月面探査レース」

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