地球を周回する新たな天体を確認、月とは別

隠れていた地球の「衛星」を新たに2つ観測、ハンガリーの研究チーム

2018.11.08
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地球の周りの安定したポイント

 地球の衛星が月以外にもある可能性は、何世代も前から天文学者たちが示唆している。地球の周囲の軌道には安定した特別な点が5つあり、そこで「月」が見つかるかもしれないと研究チームは考えた。

 これら軌道上のスイートスポットはラグランジュ点と呼ばれる。この点では天体が、地球からも月からも一定の距離を保ったまま、比較的安定した位置にとらえられた状態となる。

ギャラリー:美しいスーパームーンの写真11点(写真クリックでギャラリーページへ)
米オハイオ州、ルベック・タワーのうしろからのぼるスーパームーン。(PHOTOGRAPH BY ADAM CAIRNS, THE COLUMBUS DISPATCH, ASSOCIATED PRESS)

 1950年代、固体の月を探し出せないかと考えたコルディレフスキはまず、5カ所のうちL4とL5の2つを観測した。その結果、固体ではなかったが発見があった。ちりの雲が地球を周回しているというヒントが初めて得られたのだ。

 ただし、コーディレフスキー雲の粒子は絶えず入れ替わっているため、太古からあるものの、常に変化する天体となっている。ちりの粒子は、地球か月のいずれかにわずかに引っ張られて抜け出したり、惑星間塵のあらゆる源から雲の中に引き込まれたりする。ペルセウス座流星群のような毎年の天文イベントもそうした源の1つだ。したがって、粒子自体は天文学的な時間でいえば雲に長くとどまりはしないかもしれないが、雲は地球や月が誕生した時から自然とそこに定着していた可能性がある。(参考記事:「月が誕生した意外な経緯」

宇宙の雑草のかたまり

 偶発的にできたこれらの雲は、宇宙空間の雑草のかたまりのようにも思える。これが将来の宇宙探査にとって、かなり重要かもしれない。

 例えば宇宙ミッションの中には、ラグランジュ点に人工衛星を置いておくという計画がある。数年以内に打ち上げが予定されているジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡もそうだ。2020年代のどこかの時点で、ラグランジュ点L2に展開することになっている。ホルバート氏によれば、各国の宇宙機関は火星へ向かうミッションにおいて、いわゆる惑星間スーパーハイウェーの中継所としてラグランジュ点を使う計画も打ち出しているとのことだ。(参考記事:「ここがすごい!ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡」

「コーディレフスキー雲の調査は、宇宙航行の安全性という観点から、最も重要になってくるかもしれません」と、ホルバート氏は続けた。

 そして、仮にホルバート氏とシュリズ=バロッグ氏の仮説が正しいとすると、地球にしたがってさまようちりの雲はまだ他にもあり、近くのラグランジュ点で発見を待っているだけなのかもしれない。

ギャラリー:なんとも神秘的! 灯台の背後からのぼる赤い満月(写真クリックでギャラリーページへ)
不思議な形の月が、赤色からやがて金色へ。「月の錯視」とも呼ばれる美しい「月のイリュージョン」を連続写真で紹介します。(PHOTOGRAPH BY BABAK TAFRESHI)

文=ANDREW FAZEKAS/訳=高野夏美

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