ネアンデルタール人の暮らし、なんと週単位で判明

25万年前の子育てから厳しい冬の過ごし方まで、歯の分析で

2018.11.02
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 そのため、今回明らかになった2年半という授乳期間が、ネアンデルタール人にとって一般的だったかどうかまではわからない。しかし、2歳半という年齢は、先進国を除く地域における人々の平均的な乳離れの年齢とも近く、ネアンデルタール人にも当てはまるのかもしれない。

「乳離れの年齢が特定できたのはすばらしいことです」と、米オハイオ州立大学の自然人類学者、デビー・グアテッリ=スタインバーグ氏は電子メールで述べている。授乳期間が2年半というのは、たとえばチンパンジーなどに比べればはるかに短いという。ボノボとともに、彼らはもっとも人間に近い種だが、通常は5歳ぐらいまで授乳する。ネアンデルタール人の授乳の習慣は、現代の人間に近かったのかもしれない。(参考記事:「ネアンデルタール人はゆっくり成長した、研究成果」

 スミス氏は、ほかの年代や環境のネアンデルタール人や、古代の人間の子どもについても調査を行いたいと考えている。時代によって乳離れの年齢がどう変化したのかは、まだほとんどわかっていない。やわらかい食べものや動物の乳を原料とする乳製品が発達したことで、乳離れが早まったとする仮説もある。「しかし、ここまで厳密に検証できた人はまだいません。今回の方法を使えば、それも可能でしょう」と同氏は話す。

複雑さを増すネアンデルタール人像

 前述のクルーガー氏は、今回の研究によってネアンデルタール人の姿はさらに複雑さを増したと述べる。つまり、この研究は、ネアンデルタール人がどのような日常生活を送っていたのかを知る手がかりであるとともに、彼らは「鈍重な野蛮人」だという今までの一般的な理解をさらに遠ざけるものだという。「たとえば、誰かにネアンデルタール人と呼ばれたら、どう反応するでしょうか。少なくとも、褒め言葉ではありませんよね」

「しかし、ネアンデルタール人はとても複雑でややこしい人々だったのです。調理もしていましたし、さまざまな植物や動物を活用し、植物を薬に使うこともしていました。アクセサリーも付けていましたし、壁画も描きました。死者の埋葬まで行っていたのです」(参考記事:「ネアンデルタール人の謎のストーンサークル発見」

 今回の研究は、冬が来ることによる影響や、子育ての方法など、彼らの生活を今までになくありありと見せてくれる。まさにクルーガー氏が記す、「『彼ら』と『私たち』の境界線は、日々曖昧になっています」という言葉のとおりだ。(参考記事:「人種の違いは、遺伝学的には大した差ではない」

【参考ギャラリー】世界最古の洞窟壁画、作者はネアンデルタール人(写真クリックでギャラリーページへ)
【参考ギャラリー】世界最古の洞窟壁画、作者はネアンデルタール人(写真クリックでギャラリーページへ)
スペインの洞窟の壁に、赤い縦線と横線からなるはしごのような絵が描かれているのが見つかった。6万4000年以上前のものと推定され、作者はネアンデルタール人と考えられる。(PHOTOGRAPH BY P. SAURA)

文=MAYA WEI-HAAS/訳=鈴木和博

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