成長とともに頭の形態が変化

 この発見について発表した米カリフォルニア大学古生物博物館のマーク・グッドウィン氏は、近年、カナダ、ロイヤルオンタリオ博物館の古生物学者デイビッド・エバンス氏とともにパキケファロサウルスの標本を多数発掘し、調べている。

 グッドウィン氏は2009年に、米国西部のヘルクリーク累層という地層から出土したスティギモロクとドラコレックスという2種の恐竜が、独立の種ではなく、パキケファロサウルスの幼い個体であることを示す証拠を発表して、論争を引き起こした。彼のこの主張は、現在は広く受け入れられている。これらの幼い個体は、成熟した個体とは大きく異なる外見をもつ。幼い個体の頭部はこぶや角などの複雑な飾りで覆われていて、成熟した個体のような大きなドームがなかったため、同じ種には見えなかったのだ。(参考記事:「恐竜の種の3分の1は実在しなかった?」

パキケファロサウルスの幼い個体の想像図。平らな頭蓋骨の後ろ側の表面全体に、よく目立つ装飾やこぶや節がある。(ILLUSTRATION BY KARI SCANNELLA)
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若い成体のパキケファロサウルスでは、前頭頭頂骨が拡大して頭蓋の上部に特徴的なドームを形成している。(ILLUSTRATION BY KARI SCANNELLA)
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 そのドラコレックスに似た今回の頭部は、米モンタナ州東部で発見され、ロイヤルオンタリオ博物館に寄贈されたもので、保存状態が非常によい。年代は6800万~6600万年前の白亜紀後期で、非鳥類型の飛べない恐竜を絶滅させた小惑星の衝突の直前のものと推定されている。グッドウィン氏とエバンス氏は、この化石を含む71個の化石(そのほとんどが断片である)を調べて、パキケファロサウルスの成長過程を解明しようとしている。

 グッドウィン氏はアルバカーキの古脊椎動物学会で、エバンス氏とのもう1つの研究から得られた知見も明らかにした。パキケファロサウルスの頭部の装飾のスタイルと複雑さは、個体が成熟する過程で変化しただけでなく、ヘルクリーク累層の岩石に記録された200万年の進化の中でも変化していたという。2009年に最初に提案された復元図に、さらなる複雑さを追加する発見である。(参考記事:「新種の恐竜レガリケラトプス発見、飾りはレトロ」

太古のメニューを知る方法

 新たに発見された頭蓋骨に「どこをどう見ても獣脚類のものに見える」歯があったことに、グッドウィン氏は非常に驚いたという。氏は、パキケファロサウルスは状況に応じて食べるものを変えていて、少なくともときどきは肉を食べていたと考えている。今日でも、多くのクマがそのような食性をもっている。

 ブルサット氏は、パキケファロサウルスはおそらく雑食性で、「低木やシダだけでなく、小型の哺乳類、カエル、サンショウウオ、トカゲ、もしかしたら小型の恐竜も食べていたかもしれません」と言う。

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