セクシーポーズをきめるリス 愉快な写真の秘密

ツイッターで世界に拡散した日本発の写真。リスの本当の乳腺はどこに?

2018.10.29
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 2018年10月9日、東京・井の頭自然文化園で、ある来園者が珍しいリスを見つけた。リスは乳腺が発達しているように見えた――つまり、胸が大きいのだ。

 来園者はリスの写真をTwitterに投稿。世界中で4万7000回以上リツイートされ、約14万2000の「いいね」が押されている(2018年10月26日現在)。 (参考記事:「2017年 ナショジオが掲載した驚異の動物写真 38点」

 それにしても、一体どうしてリスはこんな格好をしたのだろう。

 カナダ、アルバータ州エドモントンにあるマキュアン大学のジェシカ・ヘインズ氏は、「皆さんの期待を裏切ってしまいますが、実際のリスの乳腺の位置は写真とは違います」と話す。ヘインズ氏は、アルバータ州でキタリスを研究している生態学者だ。「リスの乳首は、胸に見えるところの下にあるのです」。つまり、この写真のリスの胸部に見えるところに乳腺は無いということだ。

ギャラリー:かわいい! リスたちの姿をフォトアークから(画像クリックでギャラリーへ)
マウントグラハムキタリス(Tamiasciurus hudsonicus grahamensis)。アリゾナ州ツーソンのアリゾナ・ソノラ砂漠博物館で撮影。(PHOTOGRAPH BY JOEL SARTORE, NATIONAL GEOGRAPHIC PHOTO ARK)

 そもそも、リスの乳腺は2つではないし、多い種では10個の乳腺を持つ。

 それでも「写真のリスは子育て中の雌かもしれない」と考える人もいるだろう。ヘインズ氏はこの仮説も否定する。リスの場合、授乳期には乳首が長くなり、周囲の毛が抜ける。だから、子育て中の雌は遠目でも見分けがつくというのがその理由だ。

 統合生物学を専門とするミシガン大学のベン・ダンツァー氏は、「リスを研究したことがあるなら、十数メートル離れた樹上のリスでも授乳期かどうかは判断できますよ」と話す。

 ダンツァー氏は、写真のリスは体の脂肪が多く、たまたまそれを持ち上げるようなポーズを取ったのではないかと推測している。一般に、リスのような樹上性の種は、野生ではあまり太らない。だとしたら、ダンツァー氏の説に問題はないのか? (参考記事:「2018年 思わず笑ってしまう野生動物の写真17点」

「写真を見ただけで判断するのは難しいですが、やはり脂肪なのだと思います。このリスはきっと人間の近くで暮らしていて、高脂肪の餌を食べているのではないでしょうか」とダンツァー氏(編集部注:投稿者によれば、井の頭自然文化園の中の「リスの小径」で飼育下にあるリスを撮影したとのこと)。

次ページ:ヒトと同じく胸に乳腺がある意外な動物

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