エメラルドゴキブリバチは、自由に動けなくなったゴキブリの触角をつかんで巣穴に連れて行き、卵を産みつけて穴をふさぐ。
孵化した幼虫は数日をかけてゆっくりとゴキブリを食べ、そこでサナギとなったあと、約1カ月後に成虫となる。 (参考記事:「ゴキブリをゾンビ化する寄生バチの毒を特定」)
アリを操る吸虫
扁形(へんけい)動物の一種、槍型吸虫の成虫はウシなどの草食動物の肝臓に生息している。
卵は糞として宿主から排出され、カタツムリに食べられる。体内で卵が孵化すると、カタツムリは寄生虫のまわりに保護嚢を作り、粘液とともに吐き出す。
この吸虫入りのスライムは、アリのエサになる。その後、脳に到達した吸虫は、アリを草の先端まで登らせ、そこでじっと待機させる。そうすれば、そのうち草食動物に食べられることになる。あとはこのサイクルを繰り返すだけだ。 (参考記事:「アリをゾンビ化、不気味な新種2011」)
魚に死のダンスを踊らせる
吸虫の一種(学名:Euhaplorchis californiensis)は、海洋性の巻き貝の体内で誕生する。孵化した幼生たちは、次の宿主となる小魚を探す。
魚を見つけた吸虫はえらに取りつき、そこから脳に向かう。しかし、最終的な目的地はそこではない。(参考記事:「【動画】魚の寄生虫を掃除するエビ 微笑ましい光景」)
吸虫が繁殖できるのは、水鳥の内臓の中だ。そのため、魚の脳内で化学物質を放出し、奇妙な泳ぎ方をさせたり、飛び跳ねさせたりする。
ジェニー・ショー氏は、米カリフォルニア大学サンタバーバラ校に在籍していたころ、この寄生虫が魚の脳内でセロトニンを減少させ、ドーパミンのレベルを上げていることを突き止めた。この脳内化学物質のおかげで、魚は激しい泳ぎ方をするようになる(セロトニンもドーパミンも神経伝達物質)。
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