宿主をゾンビ化して操る 戦慄の寄生虫5選

寄生虫には、宿主の心も乗っ取って行動を思いのままに操るものがいる

2018.10.25
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ハリガネムシの一種(Paragordius varius)はヨーロッパイエコオロギに寄生し、水に飛びこませて自殺させる。コオロギから出てきたハリガネムシの成虫は、水の中で暮らす。(PHOTOGRAPH BY ANAND VARMA; BEN HANELT, UNIVERSITY OF MEXICO)
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 泳ぎ方が慌ただしければ、それだけ魚は目につきやすくなり、鳥に食べられる可能性が高い。もちろん、吸虫も一緒に鳥に食べられる。鳥の体内で吸虫は繁殖し、鳥の糞とともに排出された卵は、巻き貝に食べられ、やがて魚に……。後は、この繰り返しだ。

コオロギを入水させるハリガネムシ

 ハリガネムシはその名の通り、乾くとハリガネのような寄生虫で、カマドウマやコオロギなどが宿主だ。ただ、ハリガネムシが命をつなぐには課題がある。この寄生虫は、カマドウマやカマキリなどの陸生の昆虫に寄生しながら、水中でないと繁殖できないのだ。そのため、宿主を水辺へと誘導し、水に飛び込ませるのだ。

 フランス国立科学研究センターの科学者グループは、ハリガネムシがどうやって昆虫を操るのか、実験でも使われるコオロギを使って突き止めた。ハリガネムシは、化学物質を分泌して、光の方に向かわせる。水面は月の光を反射するので、操られたコオロギは夜に湖や小川に向かうのだ。 (参考記事:「研究室:カマドウマの心を操る寄生虫ハリガネムシの謎に迫る」

 水に飛びこんでコオロギが溺れ死ぬと、ハリガネムシはコオロギから姿を現す。水中の卵は、幼虫時代を水の中で過ごす有翅昆虫に食べられ、その成虫が捕食されてハリガネムシの新たな宿主になるのだ。

文=MARY BATES/訳=鈴木和博

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