珍しい双子のサルを発見、しかも父親は別

114回の出産を確認、双子はたったの1例だった

2018.10.16
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 暗い茶色をしたオトナたちと違い、ベニガオザルの赤ちゃんは白っぽい色の肌と毛を持ち、茶色と緑が多い森の中で一際目立つ。タイのこの集団には400匹近くの個体がおり、豊田氏は21カ月にわたって彼らを観察してきた。その間に114回の出産があったが、双子の誕生が確認されたのはわずか1回だ。

 オスとメスが混じって暮らすベニガオザルの集団において、排卵中のメスは、複数のオスと交尾をする。今回のように、たまたまそのとき2つの卵が排卵されるという珍しいことが起きれば、それぞれの卵が2匹の異なるオスの精子と受精することがありうる。ナショナル ジオグラフィック協会のアーリーキャリアグラントで一部資金援助を受けた豊田氏は、そう説明する。(参考記事:「大きな鼻ほど強くてモテる、テングザルで判明」

赤ちゃんのいるメスのベニガオザルたちは集まることが多い。双子の母親TNG-19が、子供たちを膝に乗せて真ん中に座っている。(PHOTOGRAPH BY ARU TOYODA)
[画像のクリックで拡大表示]

 このベニガオザルの集団では、3つ以上の乳首を持つ個体の出現頻度が高い。他の種で双子が確認されたときも、余分な乳首を持つ個体が多かったことがあり、興味深い、と米カリフォルニア大学サンディエゴ校の人類学者ジム・ムーア氏は述べる。

 ムーア氏は以前、余分な乳首を持つ個体の割合が高く、かつ双子の出産が多かった、タイワンザル(Macaca cyclopis)の集団についての論文を出版した。「同じような集団がもうひとつ見つかれば、何かしらの法則があると言えるでしょう」。だが、今のところは単なる面白い発見に過ぎない、と同氏は言う。今回の事例において、双子の母親および双子の乳首はいずれも2つで、ベニガオザルにおいて余分な乳首の存在と双子が産まれることの間に関連性はなさそうだ。(参考記事:「大阪のサルがシカにまたがり「性行為」、研究成果」

 豊田氏は双子が生後5カ月の頃に調査地を去らなければならなかった。翌年戻ったとき、母親は新しい赤ちゃんを抱えていた。同氏は、双子が成長して同集団に残っているのではと考えているが、確かなことはわかっていない。

「最も興味深いのは、母親が子供たちのニーズに応えられるよう、どのように適応するかということです」とシーラン氏は言う。双子を育てるためには、その分多く活動することになる。それは人間の場合もほとんど変わらないかもしれない。「人間がまったく同じかはわかりません。でも、双子を持つお母さんたちはきっとそう言うでしょうね」(参考記事:「【動画】希少な「白いヘラジカ」、しかも双子!」

ギャラリー:コンテスト応募作から28点の動物写真を紹介(写真クリックでギャラリーページへ)
冬の寒さを逃れ、温泉で暖まる2匹のニホンザル。(PHOTOGRAPH BY KOUSUKE KITAJIMA, NATIONAL GEOGRAPHIC TRAVEL PHOTOGRAPHER OF THE YEAR CONTEST)

文=DYANI SABIN/訳=桜木敬子

おすすめ関連書籍

こざる温泉

会いに行けるしあわせ動物

「会いに行けるしあわせ動物」シリーズ第2弾。

定価:本体1,600円+税

  • このエントリーをはてなブックマークに追加