定説覆すコブラの共食い、しかもオス同士のみ

アフリカのケープコブラが日常的に同じ種を食べていた、研究

2018.10.15
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ヘビの最大の餌はヘビ

 何より不思議だったのは、マリッツ氏らが観察したケープコブラの共食いの全てがオス同士の間で起きていたことだった。このことは、共食いの習慣が餌やメスをめぐる争いとつながっている可能性を示唆する。(参考記事:「【動画】毒ヘビの異種がメス争い、野生で交雑?」

「オス同士の争いと共食いとの間に関連があったら、非常に面白いと思います」とマリッツ氏は言う。とはいえデータはまだ少なく、たまたま目撃されていないだけで、実際にはメスも共食いをする可能性も否定できない。

 米ロマリンダ大学の行動生態学者で、ヘビの専門家であるウィリアム・ヘイズ氏も、オスだけが共食いをするという今回の発見は非常に興味深いと言う。

「ケープコブラの共食いの影響は小さいと思われるかもしれませんが、まれにしか起こらない出来事が非常に大きな意味を持つこともあります」と彼は言う。「まだ若い競争相手を食べることで、生き残りや交尾の成功率に違いが生じてくるかもしれません」

【参考動画】共食いをするキングコブラ 大型で、俊敏で、神経毒をもつキングコブラはあなどれない強敵だ。ナショナル ジオグラフィック協会のエクスプローラーであるサンデシュ・カドゥール氏は、「キングコブラは、他のヘビにとっての悪夢です」と言う。(解説は英語です)

 しかし、米ウィットマン大学の爬虫類学者であるケイト・ジャクソン氏は、このヘビたちが、たまたま出会ったり、戦いで倒したりした小さなヘビを食べるのは、必ずしも意外ではないと言う。細長い体をもつヘビにとって、口に入る最大の餌は、同じように細長い体をもつヘビだからだ。(参考記事:「【動画】ウミヘビが大きなウツボを丸のみに」

 コモンキングヘビ(Lampropeltis getula)が異種のヘビを食べるときの体の仕組みを研究したジャクソン氏は、今回のような報告を歓迎している。「野生のヘビの餌について知られていることの多くは、野外観察図鑑の受け売りで、新規の研究に基づくものではないからです」

 ジャクソン氏は、コブラが人々に及ぼす影響を考えると、この研究は非常に重要であると言う。強力な毒をもつコブラは、アフリカで最も危険なヘビの1つである。しかし、コブラの毒に含まれる毒素の組成やその種類は、ヘビが食べるものによって変わってくる可能性がある。コブラの餌が地域ごとに異なっているなら、コブラの毒の種類も異なっているかもしれない。その場合、ある地域で人々の命を救う抗毒血清は、他の地域ではそれほど効果がないかもしれない。(参考記事:「18種の毒ヘビに有効、画期的な血清製造法を開発」

 マリッツ氏らは今回の論文で、ヘビの共食いが、ヘビの群集の構成に大きく関与しているのではないかとしている。つまり、特定の地域に見られるヘビの種類と大きさに、共食いが決定的な影響を与えているということだ。

 この現象は、マリッツ氏が研究を行った地域で、小さなスケールでなら当てはまるとも言える。その地域では、大きいコブラがハタオリドリの巨大な巣を襲うことが知られている。「小さいコブラにとって、ハタオリドリの巣を襲うのは危険なことなのかもしれません。もしその巣が大きなコブラも引きつけて、うかつに近づくと食べられてしまうのだとしたら」(参考記事:「世界最大の鳥の巣、建造に「厳しい監督」が貢献」

【関連ギャラリー】世界のヘビ、多様でカラフルな写真22点(写真クリックでギャラリーページへ)
マレーベニナメラの一種(学名:Oreocryptophis porphyraceus laticincta)、フランス、個人所有。(PHOTOGRAPH BY JOEL SARTORE, NATIONAL GEOGRAPHIC PHOTO ARK)

文=Christie Wilcox/訳=三枝小夜子

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