ISS滞在中の飛行士はどうなる?

 現在ISSには、米国人のセリーナ・アウニョン=チャンセラー飛行士、ロシア人セルゲイ・プロコフィエフ飛行士、司令官であるドイツ人のアレキサンダー・ガースト飛行士が6月から滞在している。米スペースニュースの報道によると、ISSには前回乗組員を運んできたソユーズが6月から連結されているが、軌道上での寿命は約200日であるため、数字の上ではクリスマスまでに地球に帰還する必要がある。

 ISSの元司令官で、ソユーズの副操縦士だったクリス・ハドフィールド氏は、木曜日のライブ配信で、ISSの乗組員は「いつでも連結を解除して地球に帰還することができます。しかし、コロンビア号の事故の時と同様に、ISS自体とISSに滞在する飛行士の健康の双方について、長期的な計画を考える必要があります」と語った。2003年、スペースシャトル「コロンビア」が大気圏に再突入する際に分解して乗組員7人が死亡した事故を受け、米国のスペースシャトルの飛行は2年以上取りやめられた。

「宇宙ステーションを放棄すると、どこかが故障したときに修理する人がいなくなるため、やがて深刻な問題が生じるでしょう」と、ハドフィールド氏は言う。

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宇宙滞在340日、地球を周回すること5000回以上。米国の宇宙飛行士スコット・ケリー氏が1年にわたる宇宙滞在のなかで撮影した魅惑的な写真たちは、人々の記憶に刻まれることだろう。(PHOTOGRAPH BY SCOTT KELLY, NASA)

 ロシアの政府系通信社スプートニクは、ロスコスモスの調査が速やかに終了すれば、2018年12月20日に予定されていたソユーズMS-11の打ち上げを11月中旬に前倒しできると伝えている。また、そのミッションにはすでに3人の乗組員がいるので、今回事故に遭った2人は参加しないだろうという。

 ただし、事故の正確な原因がわからないと、ソユーズの次の打ち上げの時期は決まらない。「簡単に診断できる原因であれば、計画からあまり遅れずに済むかもしれませんが」とハドフィールド氏。「問題はたいてい複雑です。そうなると原因特定には時間がかかるでしょう」

「現在宇宙ステーションに滞在している3人は、宇宙に無期限に置き去りにされる可能性もあります」

 NASAが状況を打開することはできないのだろうか? 今はまだできない。2011年にスペースシャトル計画が終了して以来、NASAは宇宙飛行士をISSに送り届けるのに、有償でロシアのロケットに乗せてもらっている。その金額は非常に高く、前回の打ち上げではNASAはソユーズの座席1席に8100万ドルを支払った。(参考記事:「前沢氏の月旅行は計画通りに実現するのか?」

 NASAは、米国の民間企業が開発する「宇宙タクシー」で宇宙飛行士をISSに送り届ける計画を進めている。2014年にNASAは、スペースX社とボーイング社の2社と68億ドルの契約を取り付けた。2019年6月にもこの2社がISSに乗組員を送り届ける有人テスト飛行を行うと、NASAは先週発表した。(参考記事:「NASAが初の民間宇宙飛行の乗員決定、日程は未定」

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