カレイは、脚がないのに海底を素早く移動する。その移動方法はなんと、世界屈指の脚の数を誇るあの生物からヒントを得ているらしい。ビデオを使った最新の分析で、カレイの独特の「歩き」ぶりが、ヤスデの歩き方に驚くほど似ていることがわかった。
カレイは、ただでさえ奇妙な生き物だ。生まれた時は普通の魚っぽい外見だが、間もなくピカソの絵さながらの変貌を遂げる。頭骨の中の骨と軟骨がねじれて位置を変え、片方の目が頭頂部を越えて、反対側の目のそばへ移動する。(参考記事:「インテリジェント・デザインと矛盾する古代魚」)
この変化により、カレイ目(カレイ、ヒラメ、オヒョウなどを含むグループ)は「地球上で最も非対称な生物」になっていると話すのは、米コーネル大学で魚類の運動を研究する博士課程の学生、クレア・フォックス氏だ。「カレイは自然が作った変わり者です」
風変わりな姿になったのは、海底での生活に適応した結果だ。平たい体の縁から伸びたたくさんの鰭条(きじょう、魚のヒレを支える線状の構造)は、ヤスデの脚さながらだ。学術誌「Zoology」2018年10月号に掲載されたフォックス氏らの報告によると、カレイは鰭条のうち数本を束にして、海底を押しながら前に進んでいるという。
この方法は、ヤスデの歩き方に非常に似ている。ヤスデは2本1組の脚を連続で持ち上げ、波打つように脚を動かすことで、自分の体を前に押し出している。(参考記事:「【動画】ヒヨケムシ VS ヤスデの死闘、貴重な映像」)