【動画】ヘビのふりをするキツツキの仲間アリスイ

かつて邪悪な魔法の力を宿すと考えられていた動きは擬態、ジンクスの語源にも

2018.10.09
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「アリスイは木に穴を開けることはありませんが、複雑な椎骨など、キツツキ科の特徴は備えています。木をつつくことをしない代わりに、この特徴的な形態を使って、曲芸のように首をあらゆる方向に曲げるのです」

 アリスイは、ほとんどのキツツキが巣穴を作ったり虫を食べたりするために利用する長所を、危険を感じたときにヘビのふりをするという別の目的に使うのだ。カウフマン氏は、数千年以上にわたる進化の過程で、ヘビのような動きを「偶然に」獲得した者が生き残ってきた結果だろうと話す。

「最初は『ほかの生きもののふりをしてやろう』という意図的な行動ではなかったと思います。擬態するほかの種と同じく、自然淘汰の結果、ヘビに近い動きをするアリスイが選ばれてきたのでしょう」と、カウフマン氏。 (参考記事:「【動画】毒ヘビ!と思ったら実はこの生物だった」

 動物の世界には、ヘビのまねをする生きものはたくさんいる。ヘビそっくりのスズメガの幼虫、ウミヘビに似た長い足を持つタコもいる。アナホリフクロウはガラガラヘビのような音を立てるし、危険なヘビのまねをする「無害なヘビ」までいる。

邪悪な鳥? それとも愛の鳥?

 アリスイの鋭い鳴き声は、かつて人々を怖がらせた。でも、今、森の中でアリスイを見ることができたなら、その人は幸運だ。あまり目立たず、カムフラージュが得意で、個体数は減少傾向にあるからだ。

 見た目は地味なアリスイだが、その奇妙な動作のため、邪悪な魔法の力と関係があると考えられてきた。縁起が悪いという意味の「ジンクス」の語源もこの鳥にちなんだものだ。

 アリスイは、恋愛の魔法に使われていたとも言われる。『Birds: Myth, Lore and Legend』(鳥の神話と伝説)という本によれば、かなう見込みのない恋心を抱いた人は、コマに翼を広げたアリスイをとめたという。「ジンクス」と呼ばれるこのコマが回転することによって、魔法の力で愛が叶うと考えたようだ。(参考記事:「バンパイアと人狼、伝説誕生の経緯を検証する」

 こうした風習は途絶えて久しいが、アリスイの学名Jynx torquillaの「torquilla」は「回転する」という意味のラテン語が語源だ。アリスイは、これからも魔法に彩られた過去と、首を回すことができるという能力を永遠に伝えてゆくことになるだろう。

【参考動画】幻の鳥ハシジロキツツキを探して 研究者グループが米国では絶滅したとも考えられていた鳥を探す。(解説は英語です)

文=BENJI JONES/訳=鈴木和博

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