第9惑星の存在示す?準惑星を太陽系外縁で発見

公転周期は4万年、極端に偏った軌道、愛称「ゴブリン」

2018.10.05
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第9惑星は地球よりはるかに大きい?

 2015 TG387のほかにも、2003年に発見されたセドナや2012 VP113(愛称はバイデン)など、太陽からはるか遠く、海王星の軌道の外側で巨大な楕円形を描いて公転する天体が複数発見されている。(参考記事:「冥王星の向こうに未知の惑星が存在か」

 2015 TG387は、ほかの複数の天体と似たような軌道をたどっており、そこに何らかの共通する作用が働いている可能性がある。漆黒の太陽系外縁部に、ほかの小天体の軌道に影響を与える巨大惑星が隠れているのだろうか。(参考記事:「太陽系で新たな惑星を発見?」

「何かが、これらの天体の軌道を同じようにそろえて、安定させていると思われます。私たちは、そこに巨大な第9惑星が存在するのではと考えています」とシェパード氏は語る。「地球をはるかに上回る海王星サイズの惑星かもしれません」(参考記事:「海王星に巨大嵐が出現、サイズは地球並み」

 シェパード氏らはこの惑星を探しており、2015 TG387が探索の範囲を狭めてくれることを期待する。今のところ、第9惑星は2015 TG387の反対側にいて、小天体の軌道に影響を与えていると、シェパード氏は考えている。

 だが、これまでに観測されたこうした天体はごく一部にすぎず、第9惑星の存在を否定する天体が発見される可能性もある。

 英クイーンズ大学ベルファスト校の天文学者ミシェル・バニスター氏は、巨大第9惑星の存在に懐疑的で、もう少し調べてみないとわからないという。

「そのためには、できるだけ多くの天体の軌道の種類や形を知ることです。そこに、第9惑星を加えて詳細にシミュレーションしたものを見てみたいです」

【参考ギャラリー】まるで地球、衛星タイタンの驚くべき写真8点(画像クリックでギャラリーページへ)
高度10kmから見たタイタンの表面。ホイヘンスからの画像をつなぎ合わせて作成した画像。(PHOTOGRAPH BY ESA, NASA, JPL, UNIVERSITY OF ARIZONA)

謎に満ちた太陽系外縁部の天体たち

 それでも、バニスター氏は2015 TG387の発見を歓迎している。その周囲には、普段は見ることのできない無数の天体が存在しているかもしれないからだ。

「ひとつひとつの発見は、全て氷山の一角なのです。その背後にはおびただしい数の天体が隠れており、私たちが観測できるのは、たまたま太陽に近づいているとか、ほかの天体よりも大きいために明るく見える物体だけです」

 こうした天体の集まりが、太陽系の全貌や歴史を理解する助けになると、バニスター氏は期待する。これまで発見できたのは、太陽まで50天文単位の範囲に近づく軌道を持つものや、80天文単位の距離でも比較的反射率の高いセドナ、そして太陽系の中心近くまで飛び込んでくる彗星など、ごく一部に限られている。(参考記事:「外縁天体セドナ、予想より小さかった」

 彗星は、太陽から2000~20万天文単位の距離にあって太陽系を取り巻いているオールトの雲の外縁部から飛来すると考えられている。2015 TG387は、彗星に似てほとんどが氷でできているようだが、軌道は彗星とは全く異なる。(参考記事:「太陽系 激動の過去」

 その起源は、おそらくオールトの雲よりもはるかに内側と想定されるが、この辺りはまだよく調査されていない。

 バニスター氏は、太陽系外縁天体にまつわる謎のひとつは、どうやってできたのかだと指摘する。海王星より内側には、それだけの天体ができるだけの材料がそもそも存在しない。

 もし今より内側でできたのだとしたら、どうやってそんな遠くまで押しやられてしまったのかも謎だ。わずかな重力が長い時間をかけて軌道を少しずつずらしていったのか、自らの重力によってできた微惑星なのか、はたまた恒星やあるいは恒星を持たない流れ者の惑星がそばを通ったのかなど諸説ある。(参考記事:「太陽系の外から飛来した天体を初観測、歴史的発見」

「これらの天体は何なのか、はっきりした説明がないのでまだまだ興味は尽きません」と、バニスター氏は言う。「太陽系誕生の頃の微惑星が『化石化』し、まだ解明されていないメカニズムによってそこに置かれたのかもしれません」

【参考ギャラリー】冥王星、20年でここまでくっきり 写真の変遷16点(写真クリックでギャラリーページへ)
1930年にクライド・トンボー氏が冥王星を発見した写真。赤い丸で囲まれた星が冥王星。6日前に撮影した写真と比べて、冥王星だけが動いていた。(Photograph courtesy New Mexico State University Library, Archives and Special Collections)

文=Nadia Drake/訳=ルーバー荒井ハンナ

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